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素朴な疑問
671
:
犀角独歩
:2003/09/15(月) 19:58
愚鈍凡夫さん:
ちょっと、横レスで質問させてください。
「天台沙門」という名乗りについてですが、これは案外、“本則通り”の名乗りであったと考えることはできないのでしょうか。
例えば、蓮師は天台沙門と名乗るのは公では当然のことであると思えるわけです。なぜかと言えば、比叡山に学んでいるからです。わたしは個人的には蓮師に立宗の意志があったのかという点で疑問を抱いています。むしろ、ある時期まで、純天台の復古主義であったと思えるわけです。
また天台宗の相承からは 伝教−円仁−恵亮−良源−源信−覚超−長豪−忠尋−皇覚−範源−俊範−日蓮 という相承譜であるとされます。
なお、蓮師自ら「法華宗」と言われます。この名称は蓮師滅後、日蓮宗の規模が確立されてからは、天台法華宗と区別され、(日蓮)法華宗の如き用例は発生するものの、元来は天台宗を意味するものでした。そうなると、天台沙門の名乗りはごく当たり前のこととなります。
昭師も蓮師と同じく比叡山に学んでいるわけですから、天台沙門に違いありません。
わたしは朗師の修学・遊学その他には詳しくないのですが、得度は建長6(1254)年で、蓮師自身、(天台)法華宗として認識の時代からの弟子です。となれば、公に状を捧げるのに、天台沙門の名乗りは自然なこととなります。
また、蓮師自体、晩年、一草案を身延に得て久遠寺と呼称していたように見えますが、弟子の多くは天台宗寺院に寄宿していたわけで、世間的な地位はいわば天台僧であったに違いありません。興師自身にしても蓮師の晩年(弘安元(1278)年33歳)に至るまで四十九院の供奉僧でありながら、蓮師の弟子となっていた経緯がありました。ですから、この時点で、四十九院その他でもし文書を書くことがあれば「四十九院僧」であることを明記していたと思われます。
それが重須にあって、「日蓮聖人の弟子」と記したかどうか、わたしはこの点でも消極的ですが、しかし、仮にそのような呼称を以て公に文書を進上できたとすれば、それは重須本堂並びに檀所を、河合の庇護で得ていたればこそではないでしょうか。また、その時点ではもちろん、四十九院の供奉僧の社会的な地位は退して長らくの事件が経過していたわけです。
むしろ、昭朗両師が「天台沙門」と名乗っていたとしたら、それはその時点で、比叡山と何らかの関係が存していたからで、これは蓮師の「本弟子」の決定とは別の話であるとわたしには思えます。
つまり、「○○沙門」の名乗りはそれら社会的な地位に拠るのであって、信仰上の師弟子から述べるものではなかったように思えます。
これはまた比叡山に遊学した順師にしても、仮に叡山系で文書の提出などがあれば、たぶん、「天台沙門」と記していたのではないでしょうか。
現在で言えば、大学で先生をやる坊さんが公式の文書で肩書きに「○○大学 ○○○○」と書いて、自寺院の名前を書かないとしても、自宗・自寺院・宗派を蔑ろにしたことにはならないようなものではないかとわたしは考えるのですが、どのようなものでしょうか。
ただし、蓮師の場合は、早くも40歳には伊東流罪に処され世間一般からすれば罪人視されたうえ、特に特定寺院の供奉僧その他の役を得ていたわけではなく、むしろ、社会的地位としては比叡山出身からはたしかに法華宗・天台沙門ではあったものの、その名乗りを跨がざるを得ない対世間的な事情が度重なる処罰待遇の中で生じていったのではないのかと、これはまったくの憶測ですが、想像しています。
併せて、興師の派祖意識の確保、重須教学の振興と確立、その時点では、根拠地も確保されているわけですから、自ずと自宗意識も萌芽していったと想像できます。伝順師文書の中にすでに「日蓮宗」の名称が見られるのはその好例ではないのかと、わたしは考えています。
ご意見をお聞かせいただければ幸甚です。
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