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素朴な疑問
3184
:
彰往考来
:2007/02/05(月) 06:51:31
熱原法難の処刑日について(その2)
スレッド3179の続きです。
【2】弘安2年10月12日説
この説は、弘安2年10月12日に顕されたとされる本門戒壇の板漫荼羅絶対視からくる原理主義的なものでしょう。御書である「聖人等御返事」の内容からもこの説は否定されるべきで、当の石山(日蓮正宗大石寺)でもこの説をとっていません。後で出てきますが現在の石山は弘安2年10月15日説をとっていると判断されます。
弘安2年10月12日説は下記資料に記載されています。
・手塚寛道『富士の教義(下)』昭和50年第5版(初版:昭和43年)、青金社、123頁
・安立行(玉井禮一郎)編著『日蓮大聖人自傳』昭和57年、墨水舎、413頁
・菅原関道『興風〔第5号〕』所収「開山日興上人についての私論(1)」昭和61年、興風談所、21頁
『富士の教義(下)』には、「滝泉寺申状には次のように書かれています。 (中略) 鎌倉在住の多くの御門下も百方手をつくされましたが、これらは一切認められず、黙殺され弘安二年十月十二日(西紀〜1279年)神四郎、弥五郎、弥六郎の三人の首を切り、残りの十七人は追放したのであります。以上で熱原の法難は終わったのであります」(123頁)と書かれていて、いやはや実に単純・明快な論調で信じるものは救われるということでしょう。こんな単純な弘安2年10月12日説を今でも信じている人がいるのか疑問です。
『日蓮大聖人自傳』では、堀日亨師は弘安3年4月8日説であるが「富士門流の中では定説となっていない」(412頁)と指摘しています。そして日蓮正宗宗門は十月十五日説であるとし、日蓮正宗妙信講(現在の顕正会)の弘安2年10月12日説を紹介しています。安立行(玉井禮一郎)氏のいう妙信講(当時)の主張内容は「一方同じ日蓮正宗妙信講では、三人の斬首がおこなわれたのは十月十二日であるが、その〝私刑〟の事実が外部に知れたのが十月十五日であるとし、十月十七日にその報に接せられた大聖人が、日付を遡上って十月十二日とされて図顕されたのであるとしている(同講本部幹事村岡長治氏談)。」というものですが、安立行(玉井禮一郎)氏は同書415頁に「果たせるかな、十月十二日、神四郎ら三人は斬首され、それにもめげず残りの法華講衆は退転せず、強信を貫いた。十月十七日にその報に接せられた大聖人は十月十二日を永遠に記念すべく、すでに造立されていた「戒壇本尊」にその日付をあらためて〝画龍点晴〟されたのではなかろうか」と妙信講(当時)の主張内容と同じ自説を展開しています。しかしながら玉井禮一郎氏はその後の著書である『創価学会の悲劇』(平成4年第5刷(初版:昭和63年)、たまいらぼ)に、「私もかつて大石寺の板本尊をまがりなりにも信じていた時期があった。 (中略) そしてそのような信解のもとに、昭和五十五年四月、安立行というペンネームで『日蓮大聖人自伝』(たまいらぼ発行)という約五百ページの膨大な日蓮伝を世に問うたことがある(引用者注:『日蓮大聖人自傳』の発行日は昭和57年(1982)5月31日。また発行所は「たまいらぼ」ではなく「墨水舎」。墨水舎=たまいらぼ であるかどうかは不明ですが、発行所住所は両社とも同じです)が、いまそれを読みかえしてみると、大石寺の板本尊論の不整合性、不蓋然性に対する私の疑問のかずかずがあらためてもっともなこととしてうなずける。そこで拙著からその部分に若干の訂正を施してつぎに掲げる」(30頁)として引き続き修正版を再録していますが、そこでは弘安2年10月12日説は消え、堀日亨師の弘安3年4月8日説を紹介しつつ「大石寺流の中でも定説となっていない」(51頁)と指摘しています。そして日蓮正宗宗門の十月十五日説には、「十月十五日説が正しいとすると、板本尊の十月十二日との三日間のズレが説明できない」(52頁)とするに止めています。『創価学会の悲劇』を読む限り玉井禮一郎氏は堀日亨師の弘安3年4月8日説のようですが明確にそう書かれているわけではありません。(つづく)
by 彰往考来
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