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素朴な疑問

2582彰往考来(しょうおうこうらい):2005/08/08(月) 07:51:05

2581の続きです。

大宮知信氏は『お騒がせ贋作事件簿』で「相剥ぎ」、「ヒコーキ」を解説しています。
「相剥(あいは)ぎ本も数多く出回っている。相剥ぎとは紙を薄く剥いで二枚にしたもので、剥離本(はくりぼん)ともいう。鉄斎が使用していた紙は、中国製の玉版箋(ぎょくばんせん)で厚みがあってよく水を吸う紙質だったため、老練な表具師だったら二枚に剥がすのはわりあい簡単にできるのだ。業界用語で〝ヒコーキ〟と呼ばれる代物である。剥がされた1枚が上に飛んで、どこかへ売られていくことからこういう隠語が生まれたらしい。この高等技術は和紙に描かれた絵にも適用できる。絵が紙の下層にまで写り込むので、もう一枚の〝真作〟を作ることが可能なのだ。
「相剥ぎ本で多いのは室町時代の書や墨絵ですね。書や墨絵は剥がしやすいんです。真作のあとに作られる相剥ぎはどうしてもかすれや弱い部分が出てくるから色を差したりする。本物はなかなか手に入らないからこういう相剥ぎ本が十分通用している」(村越英明館長)
ヒコーキは厳密にいえば贋作ではない。一つの作品から複数の「作品」を作るわけだから、真作のコピーともいえる。印刷したものやコピー機による複写よりもはるかに人間的のような気もするが、美術業界ではこれもまがい物として扱われる。京都以外の地で作られるものは「田舎様」と呼ばれ、あまり出来がよくないそうだ。こうした相剥ぎ本は鉄斎だけでなく、横山大観、河合玉堂、速見御舟(はやみぎょしゅう)などあらゆる大家の作品に見られる。」(大宮知信『お騒がせ贋作事件簿』2002年、草思社、64頁、引用者注:村越英明氏は宝塚市の清荒神清澄寺(きよしこうじんせいちょうじ)境内にある鉄斎美術館館長)

三杉隆俊氏は『真贋ものがたり』で「メクリ」を紹介しています。葉書の表裏を同時に貼るのは、「相剥」の有効な手段ではあると思います。
「「メクリ」との出会い
もう四十年も前のこと、私は古本市になにか面白いものはないだろうかとでかけた。ちょうと折畳み式の画帖のような物があり、開けると明治から大正期にかけての有名人の葉書が貼られている。だが気をつけて見ると、一面は葉書の正面、すなわち宛名と住所が記されており、もう一面には裏面の本文が貼られている、しかしどう考えても両方とも墨書の本物であり、達筆である。
そのコーナーの古本屋の主人は知人であったので、「これはいったいどうしてあるのですか」と聞くと、「うん、メクリだよ」との返事。私はまだ知識の浅い頃とて、「メクリってなんですか」と聞いてみた。すると主人は「その頃は和紙で丁寧に葉書を漉くいていたが、上手な表具師に依頼すると、うまくこのように表と裏に一枚の葉書を分けることができる。それをメクリというのだよ」と教えてくれた。さらに紙の墨書や、紙に描かれた特に墨絵で色彩の少ない物は、この葉書と同様に二つに分けることができる。要するに「本物」が二つできてしまう、だから表装する時は信頼のおける表装屋に出さなくては、とも言われた。ただ気をつけて見ると黒白の境界や印の色などが少しにぶくなっている。でもともかく「本物」が二つできたということには変りがない。」(三杉隆俊『真贋ものがたり』1996年、岩波新書、54頁)


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