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素朴な疑問

1817頭角無類:2004/10/27(水) 11:56

犀角独歩さん

いちいちの御返事恐れ入ります。

>北山蔵禅師漫荼羅では經の旁は[一/リ/エ]となっております。
>これは極めて特異な筆法であると言えようかと思えます。
>この点を彫刻本尊では[一/ツ/エ]となっている点で異なってい
>ることを申し上げました。

私の所持するレジメはコピーなので、ハッキリ分からなかったのですが、なるほど言われてみるとそうですね。とても興味深いです。
でもこれで一つなぞがとけたような気がしました。

 『日興上人詳伝』を読み返してみたのですが、

「(日禅師授与本尊について)北山本門寺にも法道院にも存在する。予が拙いためかいずれがご真筆でありやは判断しかねる。幸いに両本尊を同座申し上げたら判明するであろうか。(中略)『御本尊衆目録』には北山本門寺蔵御聖筆十一幅の中にようやく鉄砲曼荼羅という一幅だけしかのっておらず(中略)これと法道院の御分との学的判断は安国会主にも問い合わせもしようし、とにかく将来の楽しみに留保しておく」

という意味深な下りがあって、北山蔵と大石寺蔵の「日禅師授与本尊」には何らかの相違点があるのだろうと、漠然と思ってはいました。どのような違いがあるのかこれが大きな謎だったのです。

 山中喜八氏の『御本尊図集解説』に、

「およそ首題の『經』字の御書体は、著しき年代的特徴を有し、四種類に分かつことができる。(中略)今後若し、聖筆の真偽を判じ、或は臨模・作為を弁別する場合は、第一に此の点を考察すべきであろう」

 と記されております。これは山中氏が「經」の字によって偽書判定を行った御本尊が存在したことを物語っています。富士学林A氏も質問していたようですが、山中氏は北山蔵の「日禅授与本尊」について、[一/リ/エ]となっている「經」字の旁、その点を根拠として不収録とされたのか、と思い、一つ謎が解けたわけです。

 個人的には『御本尊集』収録の御本尊について、真偽にやや疑問があるものも存在しますが、いまのことろ、山中氏の研究を否定した人は居ないようです。

>> …「模写」…「臨写」…「お手本とした」

 私も言葉が少し足りなかったのですが、山中氏が御本尊偽作の系統について、「臨模・作為」と表現されるように、偽作本尊には、
①模写(双鉤填墨)、
②臨写(横に置いて字をまねて写しとる)、
③作為(手本のまま写しとるのではなく多少相貌を変更したりして創作する)
大きくこの三つの系統があると言われています。私もこの三つを言いたかったわけです。
その上で、

A仮に北山蔵のものが「臨写」・「作為」の類であったとして、制作者が「經」の字を書き損じたのか。(模写でこのような間違いがおきることは考えにくい。)

B山中氏の研究に合致しない、超例外的に[一/リ/エ]の經のつくりの御本尊が存在するのか。

 これらの点がさらなる疑問となってくるわけです。

 大石寺蔵の「日禅師授与本尊」の「經」のつくりがどうなっているか、北山蔵とどのように違うのか是非拝見したいものです。今の段階では大石寺蔵の真偽についても判断はできかねますが、その点も併せて、何か御研究されていることがあればお教え頂ければ幸いです。
 また、これらの研究については、昭和60年2月号の『日蓮宗新聞』に新たに「真筆本尊」として紹介された『聖運寺曼荼羅』について、偽作であるとの判断を加えた寺尾英智氏の研究(『日蓮聖人真蹟の形態と伝来』)にも詳しいので参考までにご紹介します。


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