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じょうえつしんかんせん とき(・○・)

1匿名さん:2004/11/15(月) 00:22
http://www.geocities.jp/mile_stone555/toki325.html

2匿名さん:2004/11/15(月) 00:23
(1) 丸いかおの しんかんせん


とうきょうえきには、たくさんのしんかんせんが集まります。


 「はやてだ、かっこいいなあ」
 「のぞみって、すごい速そうだね」


あたらしいしんかんせんは、こどもたちにも大人気です。
でも、もう何十年もはしっている「とき」は、あまり、見向きもされません。


 「なんだか、古くさいかたちだね」
 「ぼく、あっちの二階だてのにのりたいよう」


そんな声がきこえると、ときはちょっとかなしくなりました。


 「ぼくだって、まだまだがんばれるんだぞ」(・○・)

3匿名さん:2004/11/15(月) 00:23
にいがたには、ときが大好きなおじさんがいました。
ときをピカピカにしてくれて、わるいところはすぐ直してくれるおじさんです。
ときは、おじさんとよくお話をしました。


 「おじさん、昔はみんな、ぼくに乗ると、すごいよろこんでくれてたよね。
  でも今は、みんないねむりばっかりしてるよ。
なんだかつまらないよ」(・○・)


 「それはな、ときに乗れば、かならずしゅうてんまでつれて行ってくれるって、
  みんなあんしんしてるからなんだよ。だから、それでいいんだよ」


 「そっか、そうなんだね。」(・○・)


ときは、すこし元気になりました。
また明日も、がんばって走ろうと思いました。

4匿名さん:2004/11/15(月) 00:24
(2) がんばれ とき


秋になって、もみじが色づいてきたある日のことです

ときは、にいがためざしてはしっていました。
あたりはもう暗くなって、夜になろうとしていました。

ときは、びゅんびゅん、かいちょうにはしっていました。

ところが、トンネルをぬけたところで、おもわぬことがおきました。


 どすん!
 ぐらぐら ぐらぐら


大きな、じしんがおきたのです。


 「うわあっ!」(・○・)


200キロいじょうの、もうスピードで走っていたときが、
じしんのゆれで、いっしゅん、うきあがったのです。

ときは、レールをはずれて、だっせんしてしまいました。


 がたがた がたがた
 がりがり がりがり


 「このままじゃ、たおれちゃう!」(・○・)


ときは、みぎへ、ひだりへ、大きくゆさぶられます。
体をこすったり、ぶつけたりしても、なかなか止まりません。

5匿名さん:2004/11/15(月) 00:24
がたん!


いちばんうしろの車りょうが、大きく、ななめになりました。
よこはらを、コンクリートにこすって、火花がとびました。
 

 「いたい!」(・○・)


それでも、スピードはおちません。

もうだめかも・・・
ときはあきらめかけました。


その時、うんてんしさんの声がきこえました。


 「止まれ、止まれ、がんばれ」


うんてんしさんは、力いっぱい、ブレーキをかけていました。


 「そうだ、ぼくには、うんてんしさんや、しゃしょうさん、
  たくさんのお客さんが乗ってるんだ。
  ぼくがころんだりしたら、みんながケガしちゃう」


ときは、まっすぐ前をみました。
ころばないように、ぜんしんに力をこめました。
 

 「まっすぐ、まっすぐ、 転んじゃ、だめだ」(・○・)

6匿名さん:2004/11/15(月) 00:24
がりがり がたがた
 がりがり がたがた


体じゅうにきずができました。
しゃりんも、もうぼろぼろです。

ぎしぎしと、ものすごい音をたてて、
火花がとびちりました。

それでも、ときは、痛みをこらえて、
せいいっぱいの力をこめてふんばりました。


 「まっすぐ、まっすぐ」(・○・)


 がたがた がたがた
 がりがり がりがり

 ごとごと ごとごと


 
 ごとん


 「止まったあ・・・」(・○・)


ときは、ころびませんでした。
お客さんも、みんな、ぶじでした。


きずだらけになって、ときは、がんばりぬいたのです。



わずか、一分ほどのできごとでした。

7匿名さん:2004/11/15(月) 00:24
(3) だっせんした とき


それから、どれくらいたったころか、ききおぼえのある声がきこえてきました。


 「おおい、おおい」


にいがたのおじさんが、かけつけてくれたのです。
ときは、おじさんの顔をみてほっとしたのか、急になみだがでてきました。

 
 「痛かったよう・・・」(・○・)


 「そうだろう、こんなに傷だらけになって」


 「でもね、ぼく、がんばったよ。お客さん、けがさせなかった」(・○・)


 「そうだな、よくがんばった、よくやったぞ」


おじさんも、ぼろぼろ、なみだをこぼしていました。
ときの丸い顔を、なんども、さすっていました。

8匿名さん:2004/11/15(月) 00:25
ぐらぐら ぐらぐら


朝になっても、じしんはおさまりません
ときをレールにもどすさぎょうも、なかなかはじめられません。


 「とき、ごめんな。また明日、来るからな」


 「うん、またね、おじさん」(・○・)


夜になると、ときは、せんろの上でひとりぼっちになりました。


ぐらぐら ぐらぐら


じしんがくると、はっと、めがさめました。

雨がふってくると、きずが、少ししみました。


「はやく、おうちに帰りたいなあ・・・」(・○・)

9匿名さん:2004/11/15(月) 00:25
ぐらぐら ぐらぐら


次の日も、じしんはつづきました。
ときの、ふあんげなかおをみて、おじさんは、しばらくいっしょに
いることにしました。


 「初めてお客さんのせたときのこと、おぼえてるか?」


 「うん、よくおぼえてるよ。どの駅でも人がたくさんで、みんな手ふってくれてた」(・○・)


 「おじさんもうれしかったよ。
みんな、ときが来るのをずっと待ってたんだからな」


ときは、まあたらしい線路を、力いっぱい走っているところを思い浮かべました。


 びゅんびゅん、びゅんびゅん


 「ぼく、また走れるのかなあ・・・」(・○・)


 「走れるさ。おじさんが直してやるから」


ときは、きずの痛みが少し、やわらいだような気がしました。


「ぼく、お客さんを駅までつれていってあげられなかった。
だから、こんどはちゃんとしゅうてんまで走らなきゃね」(・○・)


おじさんは、だまって、うんうんと、うなづいていました。


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