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昭和54年刑事訴訟法第2問
1
:
倫敦橋
:2003/06/07(土) 00:01
問題文
強姦致傷罪で起訴された事件を審理した結果、裁判所は、強姦の事実については証明十分との心証を得たが、致傷の事実については存否いずれとも確信を得られなかった。この場合に生じ得る問題点を論述せよ。
2
:
倫敦橋(管理人)
:2004/05/16(日) 00:51
浮上。
3
:
倫敦橋
:2004/05/31(月) 04:58
約一年前に立てたスレッドですね・・。
訴因は強姦致傷罪
刑事訴訟における証明→検察官は合理的疑いを残さない証明が必要→存否いずれとも確信を得られなかった以上強姦致傷罪は不成立
強姦致傷罪の訴因で強姦罪を認定することは可能か→縮小認定は可能
しかし、強姦罪は親告罪(刑法177条、180条)である点が問題
思うに、強姦罪が親告罪とされている趣旨は、被害者のプライバシーに対する配慮を犯罪の処罰によって得られる予防効果に優先させることにある
よって、告訴が追完されない限り強姦罪を認定することはできない。
・・うーん、珍しく結構スムーズに書けたな・・。
そこで恒例の市販問題集によるチェック。
書き出しの部分で審判対象論(訴因か公訴事実か)をもっと意識して論述すべきでした。
それに、告訴の追完が認められるかどうか、という点にも争いがあるのですね。
訴訟条件の存否の判断基準を訴因に求めるか裁判官の心証にもとめるか、なんて議論もあったのですね。忘却の彼方でした。
そういえば昔刑事訴訟法の争点で読んだことがあったような気も・・。
ちょっとWの模範解答(H10年版)はあっさりしすぎのようにも思えます
4
:
倫敦橋(管理人)★
:2005/11/13(日) 21:41:31
定期巡回。
5
:
あ
:2006/09/12(火) 20:36:24
1、強姦罪につき告訴があった場合
(1) 現行刑事訴訟法は当事者主義訴訟構造(256酛、298鄯、312鄯)を採るため、審判対象は検察官の主張する犯罪事実たる訴因である。
そこで、訴因である強姦致傷罪につき無罪判決とするのが原則である。
ただし、312条1項に訴因変更制度が規定されており、検察官が訴因変更請求すれば公訴事実の同一性の範囲内で訴因変更され、強姦罪で有罪判決をなしうる。(本件、強姦致傷罪と強姦罪とは非両立にして行為が共通するため、公訴事実の同一性が認められ、訴因変更は可能である。)
(2)イ、検察官が強姦致傷訴因に固執する場合、訴因の設定は検察官の専権であることから訴因変更はなされず、強姦致傷罪につき無罪判決を下すべきである。
ただし、裁判所は検察官に対し求釈明(規則208条1項)すべきである(真実発見の要請・1条)。
ロ、それでは縮小認定により訴因変更手続きを経ず強姦罪につき有罪とできないか。
この点、検察官が訴因変更請求しないからといって訴因につき無罪とする他ないとするのでは、刑事裁判の真実発見の要請に反する。
そこで、①両罪の訴因が大小関係にあり、一方が他方に包含されており、②被告人の防御を不当に害することなく、③検察官の訴追意思に反しないことを要件に裁判所は縮小認定できると解する。
本件においては、①は認められる。また、強姦致傷罪が争点となっていたため、通常、強姦罪についての防御も尽くされていたであろうから②の要件も満たす。 そして、強姦罪につき告訴が有るのであれば、検察官は強姦罪を予備的・黙示的に主張していると解しえよう。よって③の要件も満たし、縮小認定できる。
従って、裁判所は訴因変更請求が無くとも縮小認定により強姦罪を認定し、有罪判決を下しうる。
なお、縮小認定が可能で有る以上、訴因変更命令(312条2項)は不要と考える。訴因変更命令はあくまでも当事者主義の観点からは例外的な制度と解されるからである。
6
:
あ
:2006/09/12(火) 20:38:14
2、強姦罪につき告訴が無い場合
(1)訴因たる強姦致傷罪につき無罪とすべきか、心証に基づき訴訟条件を欠く強姦罪について形式裁判をすべきかが問題となる。なぜなら、両者の間には一事不再理効(337条1号)の点で差異が生じるからである。
前述の通り、当事者主義の観点から審判対象は訴因であり、従って、訴訟条件の有無の判断も訴因を基準とすべきである。
よって訴因変更が無い限り強姦致傷罪で無罪とすべきであり、訴訟条件の欠けつを理由に形式裁判をするためには訴因変更を要する。
(2)そこで、告訴が無く訴訟条件の欠けることとなる強姦罪の訴因への変更は許されるか。不適法訴因への変更の可否が問題となる。
思うに訴因の設定変更は検察官の専権である。また、かかる訴因変更を許しても形式裁判を経て再び起訴しうるのであるから、訴因変更制度の趣旨にも反しない。
従って、不適法訴因への変更も認められるべきである。
本件においては、訴因変更がなされると、強姦罪を認定し、控訴棄却(338条4号)となる。
(3)検察官が訴因変更請求しない場合はいかなる問題が生じるか。
イ、この点、裁判所は求釈明(規則208条1項)により検察官の意思を確認すべきである。ここで、検察官が訴因変更をしない意思ならば強姦致傷罪で無罪とする他無く、訴因変更命令(312条2項)すべきでないと考える。なぜなら、裁判所が不適法訴因への変更を命じ、形式裁判を経た上で有罪判決の可能性を残すことは、あまりにも職権主義的であると言えるからである。
ロ、それでは、縮小認定により訴因変更を経ず、強姦罪を認定し控訴棄却できないか。
思うに、告訴のあった場合と異なり、告訴が無い以上、検察官は親告罪たる強姦罪で訴追する意思は無いであろう。よって前述の要件③を満たさず、縮小認定はできない。
以上
7
:
あ
:2006/09/12(火) 20:47:12
はじめまして
時間内で書いてみました
よろしければご指導ください
8
:
倫敦橋★
:2006/09/18(月) 00:39:46
>あ さんへ
はじめまして。
実は現在は司法試験の勉強から遠ざかっていて、この掲示板もまともに巡回できてない状況です。
ご自身でブログを立ち上げられた方が有効な返信がつく可能性は高いと思います。
せっかく投稿していただいたのにお役に立てず申し訳ありません
9
:
あ
:2006/09/18(月) 16:10:24
わかりました
おじゃましました
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