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日本の文化と世界の文化

4凡人:2011/07/15(金) 13:58:49
水戸黄門:第43部、「勧善懲悪劇」から脱皮へ−−TBS系  毎日新聞 2011年7月8日 東京夕刊

 ◇庶民の美しさ、絆の大切さを描く人間ドラマに
 「この番組が42年間描いてきた日本人の情の深さ、人と人との絆の大切さを今こそ強く訴えたい」。1969年8月4日にスタートした時代劇「水戸黄門」(TBS系、月曜午後8時)が、この夏、第43部に入った。東日本大震災の被災地の人々の姿が世界の多くの国々から「冷静で礼儀正しく感謝の念を忘れない」と称賛されたのを受けて、中尾幸男チーフプロデューサーは冒頭の意気込みを語る。懸命に生きる庶民への応援を込めて、人間ドラマ性を強める方針だ。【網谷隆司郎】

 「今のテレビドラマはほとんど人間が描かれていない。予定調和の絵空事だと若者がウソっぽいと感じ、見なくなる。私は『水戸黄門』は初めてだが、時代劇こそ今を書けると思っている。もっと人間を書こうよ、あえいでいる庶民の姿を描こうよ、という条件でお引き受けしました」と語るのは、今シリーズ全般の物語の骨格と色付けを任された脚本家、黒土三男(64)。22話中、自身も7、8話執筆する一方、脚本家数人の初稿をチェック、統一したトーンにする。

 「とんぼ」「うさぎの休日」など現代ドラマを多く書き、88年向田邦子賞を受賞。時代劇は少ないが藤沢周平原作の「蝉しぐれ」のテレビ版、映画版両方を書いている。

 「権力や金、富を持たない武士のすがすがしい生き方を描いた藤沢周平作品がここ十数年、多くの人に読まれている。さらに私は山本周五郎作品が好きで、庶民、長屋暮らしの哀歓を丁寧に黄門ドラマの中で描いていきたい」

 当初、黄門一行の世直し旅は東北地方を目指す予定だったが、「あまりにも直接的で、あざとい手を使うと逆効果になる」と撤回、結局、伊勢神宮を目指す旅に変更された。

 「東海道でも行く先々で、いろいろな苦しみ、悲しみに押しひしがれている庶民がいる。特に今シリーズでは、つらい思いをしている女性を主人公にし、黄門一行といかに絡んで窮地を脱するかを人間ドラマにしたい。そうすれば被災地の方にも必ず伝わると思っている。その中で、互いの助け合い、情のこまやかさが感じられ、ああそうか、人生にはこうした絆が大事だったんだなと気づく、そこに感動が生まれるんですね」

 第1部を1人で全話書いた脚本家、故・宮川一郎は「この紋どころが目に入らぬか!」と印籠(いんろう)を出す場面を初めて作った際、「こんな権威的な芝居はダメだ」とスタッフから批判されたと述懐していた。69年は大学紛争が全国で火を噴いた政治の季節だった。だが、いざ放送されると「スカッとする」と大好評で、今やドラマを代表するセリフとなった。

 印籠という権威と庶民の苦しみとは矛盾しないか。現地水戸に取材に行き、水戸光圀の実像を知った黒土は「調べるまでは不安だったが、こんなに謙虚で庶民を愛した人はいないと思えた。『大日本史』編さんも、これから進むべき道を知るには歴史を知らねばならないという進取の精神があったから。農業の大切さを知っていたから、最終回には農民と一緒に田んぼにいる黄門さんを描きたいですね」と現代に求められているリーダー像までも構想する。

 どんなに悲惨な状況にあっても、人間の絆を信じて生きる姿の美しさは、今回の大震災で外国人から見直された。黒土は言う。「今でも小津安二郎の映画が欧米人に愛され続けているのは、そこに人間の美しさが描かれているからです」

 「水戸黄門」が権力悪を懲らしめるだけでなく、美しく生きる人々を描けるかどうかが、ドラマの盛衰のカギとなりそうだ。


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