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死刑制度についてひと言お願いします

318無常:2003/10/12(日) 12:27
 はじめまして。
 団藤先生の『死刑廃止論』を第三版の頃から読んでいます。
著者が最高裁判事で陪審として死刑囚の上告を棄却した折、傍聴席から飛んだ
「人殺し!」という声から模索がはじまったという名著です。
被害者になって殺されるという立場や、被告人になって死刑宣告を
受けるという立場に立つことも稀有なことですが、裁判官にまでになって
「人殺し」呼ばわりされるのも、一般人には想像を絶する世界だと思います。 

 今の世界が欧米の価値観を一応『主流』とみていて、
その根底はキリスト教博愛主義から出た自然権思想ですよね。
日本の法律は憲法も刑法も刑事訴訟法も、ルーツは英米や
ドイツから持ってきたもので、憲法の根本的価値なんか正に自然権
思想そのものだと思います。
 いくら明治維新、大戦後と欧米の価値観を取り入れて社会を構成しても、
あちらのように、神様はただ一人で真実は神のみぞ知るという考え方は、
日本人には中々受け入れがたいのではないでしょうか。
 真実は所詮人間には分からないのだから、人間はせめて手続きだけ
精一杯やろう、というあの精神は特に。
「犯人が人を殺すのは簡単だが、国が人を殺すのは難しい」という言葉は、
日本人でありながら、法律に則して制度を扱わねばならぬ裁判官の叫びにも聞こえます。

現状が裁判は仇討ちの場でない以上、裁判制度に応報観念を持ち込んで
議論しても、あまり意味のないことだと思います。
では「野蛮国」と呼ばれようと江戸時代に戻って、日本独自の価値観で
社会を構成し直すといっても、それももはや無理でしょう。
ここまで浸透した欧米文明・文化をすべて捨て去る決意は私にはできません。

結局のところ、大半の日本人にはいまいましいキリスト教博愛主義『汝の敵を愛し、
迫害する者の為に祈れ』ってやつと折り合いをつけるしかないのではと思っています。
かの考え方では、犯罪者の命も被害者の命も優劣はなく等価値であり、苦楽生死
等しく感謝なのですから。(その辺は仏教の無常思想とも通じますね。)

 なお被害者感情、『犯人を殺してやりたい』という遺族の気持ちは、
人間らしい自然で当たり前な感情だと思います。ただ、第三者は
内心の想像に留めて外にこれを語るべきではないと私は思います。
死刑が議論されるような犯罪は、そもそも想像をはるかに超えたところにある事実ですし、全く関係のない他人が事件の加害者に憎悪を掻き立てたところで、被害者やその近親者が癒されるわけではないと思いますから。
 自分にできることといえば、こうした人たちの悲痛な叫びを黙して聴き、
悲しみを共有することくらいではないかと思うのです。


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