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教養(リベラルアーツ)と場創り(共創)に向けて

83田中治:2007/12/31(月) 05:18:16
尾崎さん、昨年のヴァルトビューネの映像と演奏のご紹介をありがとうございます。小生は2001年のヴァルトビューネを現地で鑑賞した経験があるのですが、
それは感動的でした。プラシド・ドミンゴの指揮でスペインの音楽をたくさん演奏していた記憶があるのだが、とにかく「場」としてのヴァルトビューネ
は素晴らしく、ヴァルトビューネは“Waldbuehne”文字通り「森の舞台」で、演奏はもちろんすばらしいのだが、石の客席の上に
それぞれ持参したクッションを敷いて座り、またまたそれぞれが持参したバスケットの中にはワインやチーズ・サンドイッチが入っていて
それをおもむろに開けほおばりながら仲間同士乾杯をして皆思い思いに開演を待つ。その間夕日が沈み、空が徐々に暗くなり、自然が幕開けを予告
してくれる。日が沈むとザワザワとこれまた森の木々が夜風に乗ってざわめき始める。それぞれが良い気分に浸っているときに、照明がつき
BPOの素晴らしい演奏が始まる。あれは一度体験すると病みつきになるのではないか。尾崎さんが「場」から「共創」という言葉を使っていらっしゃるが
ヴァルトビューネはサイモン・ラトルという指揮者の個性にはとりわけうってつけの「場」であるように思う。

ところで、BPO創立125周年記念を前にDie Welt(ドイツの高級紙のひとつ)と共同でBerliner Philharmoniker im Takt der Zeit(ベルリンフィル
ハーモニカー その時代のタクトの中で)という12枚組のCDが発売されており、ひょんなことから今年知人に頂いたのだが、これがなかなか興味深い。
中に冊子が入っており創立以来歴史的な事象と合わせてベルリンフィルがどのような変遷を辿ったかを時の常任指揮者のそれぞれの時代と合わせて
紹介されている。ここにも、音楽が単なる表層的なお飾りではなく、時代に翻弄された人々の心の支え、精神的な背骨のひとつであり、人々の血と肉
になっていることを実感する。12枚のCDは二キシュからラトルまで往年の常任指揮者たちの演奏が入っているのだが、BPOが各指揮者のどの演奏を
ピックアップしているのかに興味が湧いてよく見ると、因みにフルトヴェングラーのCDには3曲収められており、
ベートーヴェンの交響曲第五番(運命):1943年6月30日
モーリス・ラベルのダフネとクロエ:1944年3月22日・20日
ベートーヴェンの交響曲第一番:1954年9月19日 
であった。やはり1943年6月30日の第五が入っており、一方でフランス物であるラベルも、信じられないぐらい美しい。最後の第一は、死の2ヶ月前の演奏で、BPOとの最後の演奏であった、と記されているが、その演奏をあえて言葉で表現する気にはならない。

尾崎さんも仰るとおり、サイモン・ラトルはこの数年、「未来」を強く意識した活動を通常のシーズン以外にも力を入れているようであり、おそらく彼なりの
思想があるのだと個人的に注目している。その思想にBPOが感応してまさに尾崎さんが仰るところの「場」から「共創」へと変容している。後期アバド時代の重厚で真摯でそれでいてヒューマンなBPOも素晴らしかったが、ラトルは21世紀の幕開けと共に新しい生命力を吹き込んだようで、今後も楽しみだ。31日のジルヴェスターコンサートは日本でもライブで放送されるようだから、ご興味がある方は是非ご覧ください。
末文ではあるが今年後半、尾崎さんによる本スレッドでは、たいへん多くのことを学ばせていただいており、この場を借りて心より感謝申し上げたい。
皆様どうぞ良い年をお迎えください。


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