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【news+】ニュース速報スレ【全般】★7

1372名無し長右衛門:2009/04/11(土) 04:34:52
 その意味で、いわゆる無産者であっても人は、現在の人間関係から得ている便益の金銭相当額(あるいは、その人間関係を失うことの機会費用)を現在価値化した分の資産はもっていると考えることができます。厳しい取り立ては、親族や友人から借りて返済させるというかたちで、この資産を金銭化します。しかし、金銭化される割合はかなり低く、資産の大半は破損されることになる(すなわち、二度と親類つき合いや友達つき合いしてもらえなくなる)とみられます。「多重債務の怖さは、その生活破壊力の大きさ、早さにある。」(岩田正美『現代の貧困』ちくま新書、2007年、p.179)と指摘されていますが、これは、いま述べたような事情があるからだと考えます。こうした理解が正しいとすれば、厳しい取り立てを伴う消費者金融は、大きな死荷重(deadweight loss)を発生させるものであり、その規模拡大は、社会的余剰をむしろ減少させるものになると考えられます。
 今回の貸金業法改正が信用収縮をもたらすことは、このような観点から意図されたものです。収縮する信用部分が、もっぱら死荷重を発生させるタイプのものであるならば、マイナスの効果を持つものがマイナスになれば、社会の厚生水準は改善することになります。原因は「厳しい取り立て」にあるので、本当はそれだけを禁止できればいいのですが、立証可能性等の問題を考えると、取り立て規制の実効化(enforcement)はきわめて難しいものです。それゆえ、やむなく冒頭でも述べたように副作用が大きく、乱暴な手段である上限金利規制や総量規制を導入せざるを得なかったというのが、日本の消費者金融市場の情けない現状だといえます。改正貸金業法を批判する人は、社会的にもロスを生じさせるようなタイプの略奪的貸付を横行させてもよいというのでなければ、どのような代替的な方策があるのかを提示すべきでしょう。
 ということで、貸金業法の改正後、略奪的貸付は顕著に減少しており、かなりの便益がもたらされたと私は判断しています(もちろん、これも最終的には実証の問題で、現時点で確たる証拠があるわけではない)。しかし、コスト増がこの便益を上回っていたら、失敗だということになります。コストとして、一般に指摘されているのは、(1)中小零細事業者の資金繰りが困難化していると、(2)ヤミ金が増えているというものです。これらの点については、私も懸念していますが、辻広さんも指摘しているように、いずれもデータ的に裏付けられたものではありません。
 前者の点については、木村剛の『ファイナンシャル ジャパン』が特集するということのようなので、どんな証拠が出てくるのかを待ちたいと思います。後者の点は、とても気にしているのですが、ヤミ金被害が増えたという感触は幸いなことにいまのところありません。もっとも、定義的に「ヤミ」ですから、公式統計とかがあるわけではないので、印象論にしかならないところがあります。首都圏とか関西圏では、警察の取締りが強化されたことから、明らかに減少していると思われます。東京在住であれば、神田駅周辺や新橋駅前の状況をみれば、このことは分かるはずです。
 しかし、(仙台や福岡といったクラスの都市を含む)地方では、増加しているのではないかと懸念される兆しがないわけではありません。ヤミ金(の検挙数ではなく、被害)が増えているといっている人はいるのですが、どのような根拠に基づいているのか是非教えてほしいと思っています。ある記事のように、「ある大手消費者金融の関係者は『(断られた人は)おそらく他社でも断られているでしょうから、ヤミ金に流れるとみるのが自然でしょう』と話している。」というのだけが示された根拠というのでは、話になりません。結論としては、純便益は増加しているという判断です。ただし、現状が最善でないことは当然で、次善どころか三善以下でしかない可能性も高いので、繰り返しになりますが、もっといい解決法があるということでしたら、是非ご教示下さい。
http://news.livedoor.com/article/detail/4103811/




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