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第26回参議院議員選挙(2022年)
1546
:
チバQ
:2022/07/20(水) 11:13:32
主戦論を唱える建夫氏サイドからは当然、反発の声が上がった。建夫氏自身も、政治家としての出処進退は有権者の投票判断に委ねたい、との思いがあったという。「楽天家の父があそこまで苦悩する姿を見るのは、人生で初めてだった」と建一氏。それでも、父は最後は、小選挙区で自民系の候補同士が争うのはよくないとして、党裁定を受け入れた。
建一氏は比例中国ブロックで公認されたが、もう一波乱が待っていた。自民党山口県連が、建一氏を「県連と何ら関わりのない候補」などとする文書を党本部に送りつけたのだ。そのような煮え立った状況では、票を積み上げることなどおぼつかないのは自明の理。建一氏は衆院選公示直前のタイミングで、立候補する比例ブロックを、無縁の北関東ブロックに変更されてしまう。
21年10月31日に投開票された第49回衆院選は、北関東ブロックの次点に沈んだ。
二階氏のアドバイス
失意の底にあった建一氏だが、党から参院選の全国比例区に出ないかと打診され、応じることにした。「全国区なら、故郷の山口で選挙活動に取り組める」との思いもあったからだ。しかし-。
衆院選のしこりは深く、12月に自民山口県連会長である岸信夫防衛相に県連入りを直談判したものの、認められず。さらに県連は参院選比例代表で、現職の別の候補者を重点候補として決定。建一氏はやむなく、党東京都連に身を寄せる形となった。建夫氏に近い山口県の地元議員は「林氏を支援する県議たちが、河村家を排除しようとしている。地元には河村親子に共感する声もあるが、反撃の流れをつくりだせないでいる」と明かす。
出馬表明して以降、建一氏は父と一緒に二階派の国会議員のツテを頼り、「ほぼ全県」を訪ねて支持を訴えた。「靴を三足履きつぶせ」との二階氏のアドバイスを忠実に守り、革靴2足、スニーカー1足を履きつぶした。建夫氏も沖縄で集会を開くなど、息子を押し上げようと自身の人脈をフル稼働させた。
努力は実らなかった。22年7月10日投開票の第26回参院選。建一氏が獲得した票は約5万9千で、当選ラインに約6万足りなかった。「自分の力不足だ」と建一氏。ただ、険しい結果の中に、一筋の光明も見られた。山口県では約2万1000票を獲得し、県連が推した候補の3倍に上った。「やっぱり、山口は精神的なよりどころだ」と実感した。
「10増10減」
今後の身の振り方はまだ、決まっていない。
1票の格差是正のため、衆院小選挙区を「10増10減」する定数配分案が実現すれば、山口県内の選挙区は4から3に減る。議席を持っていない建一氏が新たに入り込む余地は、さらになくなりそうだ。それでも、建一氏は吹っ切れたように言う。「山口にこだわらず、チャンスをいただけるなら、どの選挙区でも手を挙げるつもりだ。まずバッジを着け、実績を積む。そして故郷の人に恩返しできるような人間になりたい。まだ、私はスタート地点に立ったばかりです」
“安息の地”を得るのは、いつの日か。徒手空拳の戦いが続く。
(井崎圭)
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