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とはずがたり数理解析研究所講究録

89とはずがたり:2022/04/12(火) 00:00:37
>>88


そして、Scholzeは3番目の論文で系3.12にたどり着いた。数学者は通常、より重要な過去の定理の二次的な結果として得られる定理を「系 (corollary)」という用語で表す。しかし、望月の系3.12の場合には、これがABC予想の証明の核心であることが数学者の間で同意されている。この部分なしでは「証明はまったく存在しない」とCalegariは書いている。「ここが核心のステップだ」。

この系は、中間の2つの論文の中で証明が数行以上??9ページにも及ぶ唯一の定理だ。Scholzeはこの論文を読み進めるうちに、論理を全く追えなくなるポイントに突き当たった。



ABC予想に対する望月のアプローチは、この問題を、xとyの2変数を持つ3次方程式の特殊なタイプである「楕円曲線」に関する問題に変換するというものだ。望月の研究以前からよく知られていたこの変換は、各abc方程式を、グラフがx軸をa、bと原点で横切る楕円曲線に関連付けるという単純なものだが、こうすることで、数論と幾何学、微積分などを結びつける楕円曲線の豊かな構造を利用できるようになる(これと同じ変換は、Andrew Wilesによる1994年のフェルマーの最終定理の証明でも中心となっている)。

ABC予想は、楕円曲線に関連する2つの量の間の不等式を証明することに帰着する。望月の研究はこの不等式をさらに別の形に変換したもので、Stixによると、2つの集合の体積を比較するようなものだという。望月がこの新しい不等式の証明をしているのが系3.12で、これが正しければABC予想が証明されることになる。

この証明は、ScholzeとStixが説明しているように、2つの集合の体積を2つの異なる実数のコピーの中に住んでいると見なし、その実数のコピーを6つの異なる実数のコピーからなる円の一部として表現する。そこでは、それぞれのコピーが円に沿って隣のコピーとどのように関係しているかを説明する写像が用いられている。集合の体積が互いにどのように関係しているかを把握するためには、あるコピーの体積の測定値が他のコピーの測定値とどのように関係しているかを理解する必要がある、とStixは言う。

「2つのものを比較する不等式があったとしても、コントロールできない要因で物差しが縮んでしまったら、その不等式が実際に何を意味しているのかをコントロールできなくなってしまう」とStixは述べている。

ScholzeとStixは、この重要なポイントで論文の議論に問題が発生すると考えている。望月の写像では、物差しは局所的には互いに互換性がある。しかしStixによれば、円を一周すると、逆回りに一周した場合とは異なる形の物差しになってしまうという。この状況はエッシャーの有名な螺旋階段に似ているという。どんどん登っていくと、最後には最初の場所よりも低い所に着いてしまうのだ。




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