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とはずがたり数理解析研究所講究録

35とはずがたり:2018/09/25(火) 15:46:06
ついにリーマン予想が証明された!?
2018年09月25日 00時30分00秒 | 物理学、数学
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/7213521ebacdecfa839616ce756ec8ab

ひとつ前の記事を書いている最中に、とてつもないニュースが飛び込んできた。あの「リーマン予想」が証明されたというのだ。ドキドキして気もそぞろである。これは今から160年前(日本は幕末)にドイツの数学者「ベルンハルト・リーマン」により提唱された予想で、「ミレニアム懸賞問題」という難問のうちのひとつである。リーマン予想は素数の謎を解明するために必要になる重要なステップと考えられている。そして素数は「ゼータ関数」と深いつながりをもち、宇宙や自然の有り様を決定づける秘密とも結びついているという。

リーマン予想のことは「素数に憑かれた人たち 〜リーマン予想への挑戦〜:ジョン・ダービーシャー」という本の紹介記事に書いておいたので、よくわかっていない方は、まずこの記事をお読みいただきたい。NHKで放送された番組の画面をお借りすれば、このようなものだ。



この予想を証明したというのが「マイケル・アティヤ」という89歳のイギリスの老数学者である。現代最高の数学者の一人とみなされているし、「アティヤ=シンガーの指数定理」や「ゲージ理論」という素粒子物理の根幹をなす研究をし、大きな業績を残しているから、数学だけでなく物理学の世界でも第一人者なのだ。この大先生が証明したというのだから、大騒ぎになっているわけである。僕も以前、「数学とは何か―アティヤ 科学・数学論集」という記事でアティヤ先生の著書を紹介している。

さらに騒ぎに拍車がかかっているのは、次の2つのことが明らかになったからだ。(アティヤ先生による講演も生中継されていた。)

1) 証明の論文はたった5ページであること。
2) 証明は微細構造定数を導出するという物理学上の研究から、副次的に得られたこと。


証明の論文はたった5ページであること

論文はここに公開されている。

THE RIEMANN HYPOTHESIS (MICHAEL ATIYAH): リーマン予想
https://www.dropbox.com/s/pydoj0a8hguebc6/2018-The_Riemann_Hypothesis.pdf?dl=0

もちろんこの中でアティヤ先生はリーマン予想の証明をされているが、注目すべきはこの論文の最後のほうに書かれている次のことだ。

There are also logical issues that will emerge. To be explicit, the proof of RH in this paper is by contradiction and this is not accepted as valid in ZF, it does require choice. I fully expect that the most general version of the Riemann Hypothesis will be an undecidable problem in the Godel sense.

日本語訳: いくつかの論理的な問題も現れた。はっきり言えば、この論文におけるリーマン予想の証明は背理法によるものだが、矛盾を導くためには「ツェルメロ=フレンケル(ZF)の公理系」では不十分で「選択公理」を必要とする。そして最も一般的なバージョンのリーマン予想はゲーデルの意味において「非決定的」であることを強く期待している。

補足説明: 選択公理は、それ自身もまたその否定もほかの公理からは証明できないものであること、すなわち独立であることが示されたが、これは「公理的集合論」における大きな成果であろう。なお、ZF(ツェルメロ=フレンケルの公理系)に「一般連続体仮説」を加えると選択公理を証明できる。従って、一般連続体仮説と選択公理は何れもZFとは独立だが、前者の方がより強い主張であると言える。ZFに選択公理を加えた公理系をZFCと呼ぶ。


証明は微細構造定数を導出するという物理学上の研究から、副次的に得られたこと

その論文は17ページあり、ここに公開されている。

THE FINE STRUCTURE CONSTANT (MICHAEL ATIYAH): 微細構造定数
https://drive.google.com/file/d/1WPsVhtBQmdgQl25_evlGQ1mmTQE0Ww4a/view

この論文では素粒子物理を基礎づける「微細構造定数」をトッド関数を使って数学的に導き出している。

トッド関数は関・ベルヌーイ数の母関数としてあらわれるだけでなく、黒体輻射に関するプランクの公式やリーマン・ロッホ問題の位相幾何公式にもその姿を現す。そしてトッド関数を通常のコホモロジー理論と K 理論とにおけるオイラー類の比と理解し直すことで、アティヤ=シンガー指数定理の公式にも結びついていく。(参考資料:「調和級数から指数定理へ - 日本数学会」)

(以下略)


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