…以上が、Ramsey-Cass-Koopmans モデルの設定である。資本蓄積、技術、資源の各制約を前提に、消費者は効用が最大になる消費を選ぶのである。主体(消費者)が最適な値を選ぶという意味で、c_tはcontrol variable とも呼ばれる2。また、各期において、主体が所与とする変数をstate variable と呼ぶ。このモデルの場合は、k_t、A_tがstate variable である。
State variable は、主体が環境を変えられる変数と変えられない変数に分けられる。前者をendogenous state variable という場合もあり、このモデルでは資本蓄積を通して変更されるk_tである。後者はexogenous state variable という場合もあり、このモデルの場合はA_tである。
…解をclosed form で得ることは難しい。
従って、そのようなモデルを扱う場合、定常状態周りで解がどのような振る舞いなのか、対数線形近似して求めるという手法が用いられる。1 次の近似を行えば、変数同士の関係を線形で表すことができるので、行列による差分方程式の表現が可能となる。そして、この行列による表現を操作すれば、policy function を求めることができるのである。
一般に、k_tは過去からの蓄積があるため、backward に解かれる。λ_tは横断面条件を満たすために、forward に解かれる。これらを上手く識別し、それぞれの変数についての比較的簡単な解法を与えたのがBlanchard and Kahn (1980)である。