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新・鉄道綜合スレ

5208OS5:2025/10/04(土) 07:35:29
https://news.yahoo.co.jp/articles/dbc015d53b37f458b25040e4833f9f5cdcac1758
山陽新幹線「新尾道駅 = 失敗例」は本当か? 1988年開業以来揶揄され続けた駅、その存在意義を改めて考える
10/4(土) 5:51配信



新尾道駅開業の功罪

1988年に請願駅として開業した新尾道駅(画像:菅原康晴)

 山陽新幹線の福山〜三原間に、地元の請願駅として新尾道駅が開業したのは1988(昭和63)年3月である。この年は新幹線の新駅設置が相次いだ年で、同じ山陽新幹線の東広島駅や、東海道新幹線の新富士駅、三河安城駅も請願駅として開業している。

 新尾道駅は他駅に比べ、開業以来しばしば

「失敗例」

として取り上げられてきた。その理由は明確である。まず前後の駅との距離が近すぎる。福山〜新尾道間は約20km、新尾道〜三原間はわずか11kmに過ぎない。東京や新大阪方面から尾道市に向かう場合、ほとんどの利用者は「のぞみ」が停車する福山駅で下車し、JR山陽本線に乗り換えて尾道駅まで向かう方が合理的である。

 加えて、新尾道駅の立地は尾道市の中心市街地から約3km離れており、在来線との直接接続もない。停車する列車も日中は「こだま」が1時間に1本程度で、利便性は高くない。このため、建設費120億円ともいわれる巨額の投資を、地元負担で請願駅として実施する意義に疑問を呈する声があるのも自然である。

 ただ、尾道市の立場も理解できる。山陽新幹線は岡山〜博多間が1975年に開業したが、尾道市と三原市は新幹線の駅設置をめぐり争奪戦を繰り広げたとされる。尾道市としては、三原市に先を越されたという思いがあり、新駅設置は地元の誇りや将来の経済発展を見据えた戦略でもあったと考えられる。

新尾道駅の立地価値

新尾道駅より南へ約3km、中心市街地にある山陽本線の尾道駅(画像:菅原康晴)

 上記の理由からすると、新尾道駅は「失敗例」とされる。しかしここではあえて、新尾道駅の存在意義を考えてみたい。

 まず駅周辺の環境を見てみる。尾道市中心部から約3km離れているものの、駅周辺は新幹線新駅にありがちな“無人の荒野”ではない。中心市街地からほぼ途切れなく住宅が続き、幹線道路である国道184号線も通っている。

 駅の北東側徒歩圏内には小規模なニュータウンの分譲地があり、北西約2kmには広島県立びんご運動公園がある。その北には尾道工業団地や尾道流通団地も位置する。駅周辺は住宅や施設が連続しており、潜在的な利用者層が存在する環境だ。

 路線バスは、駅が市中心部と市北部を結ぶ幹線道路沿いにあることもあって、本数は比較的多い。高速バスについては、かつて複数路線が乗り入れていたが、2025年時点では福山から新尾道駅を経由し松山に向かう路線のみとなっている。

 道路網も整備されている。駅南側約1kmには高規格道路の国道2号線バイパスが走り、北側約6kmには山陽自動車道が並行している。高速道路や幹線道路は新幹線の「競合」となる一方で、レンタカーや駐車場などと組み合わせれば補完関係も生じる。

 駅周辺の施設や交通網が実際に乗降客数や地域活性化にどれほど寄与しているかは明確でない。しかし、これらの存在は潜在的な需要の発生源となる可能性がある。そう考えると、新尾道駅の立地は必ずしも悪いとはいえない。

5209OS5:2025/10/04(土) 07:35:45
地方新幹線の経済効果

新尾道駅を通過する「のぞみ」。(画像:菅原康晴)

 やや古いが、新尾道駅と周辺施設との関係を報告した文献が存在する。2007(平成19)年、北海道の北洋銀行は「北海道新幹線札幌延伸に向けて(4)」という調査リポートを公開した。

 同リポートは、北海道新幹線で計画される新小樽駅への提言のなかで、先行例として新尾道駅を取り上げ、尾道市への取材を行っている。報告によると、新尾道駅の乗降客数は当初予想の1日3100人を下回っていた。その理由は、先述した駅の立地やアクセス条件とほぼ一致する。

 さらに広島方面からの観光客は、山陽自動車道の開通にともない、高速バス利用に移行したとされる。一方で、取材対象が尾道市であるため、ポジティブな要素も指摘されている。駅周辺の尾道工業団地は1992年に完売し、当時開発中だった尾道流通団地も好調に推移していた。

 こうした産業団地の立地は山陽自動車道の開通による効果が大きいが、商談や打合せの際に新幹線を利用するケースも想定されている。直近では、2025年4月、尾道市が新たな産業用地整備に向けた調査を開始した。市内では20年近く新たな産業団地が整備されず、企業の要望に十分応えられていなかったという。

 新尾道駅を利用するのは、観光客よりも北側の産業団地へ向かうビジネス客の流れが中心となる可能性がある。こうした利用は限定的かもしれないが、駅の存在が地域経済やビジネス活動に一定の貢献をする余地はありそうだ。

こだま駅の活用可能性

キャパに余裕がある山陽新幹線「こだま」の車内(画像:菅原康晴)

 上記のリポートでは触れられていないが、新尾道駅周辺では広島県立びんご運動公園も注目すべき施設である。公園は1500席のメインアリーナを中心に、野球場、テニスコート、プール、キャンプ場などが整備されており、県内でも最大級のスポーツ・レクリエーション施設である。大会やイベント開催時には多くの人が訪れる。

 地元報道によると、2025年1月、マンション管理などを手掛ける合人社グループが、公園のパークPFI事業(民間資金を活用して公共施設を整備・運営する仕組み)を受託した。今後はスケートボード場やグランピングなどの宿泊施設を新たに整備する計画である。大会やイベントは常時発生するわけではないが、一時的に来訪者が増えることは確かであり、同駅の最寄り駅としての存在価値に一定の意味を持たせる。

 この施設だけで新尾道駅の存在意義が格段に高まるわけではない。しかし今後は、最寄り駅であることを積極的にアピールする余地があるだろう。さらに注目すべきは、新尾道駅が

「こだま停車駅」

である点である。停車列車が限られるため、観光客やビジネス客に向けた利便性向上策を検討する余地もある。

 新幹線の駅は通常、東京や大阪など大都市圏に直結する高速鉄道としての役割が強調される。しかし、1983(昭和58)年に出版された佐貫利雄氏の都市論の名著「成長する都市衰退する都市」では、山陽新幹線内の人の流れは、対大都市圏よりも「こだま駅」を含む

「山陽メガロポリス内での移動の方が大きい」

と分析されている。

 当時、新尾道駅は存在しなかったが、同著は出版から40年以上経った現在でも、膨大なデータに基づく分析が高く評価されている。

「新幹線 = 東京・大阪」

という固定概念を外し、山陽メガロポリス内の「こだま駅」として捉えると、駅の利用実態は違った景色として見えてくる。

 JR西日本の「移動等円滑化取組報告書(令和5年度)」によると、新尾道駅の2023年の乗降人員は1956人である。計画当初の目標には届かなかったが、同駅より少ない乗降人員の新幹線単独駅も存在する。建設費120億円に見合う投資だったかは議論の余地があるが、単純に「失敗例」と断じるのは早計かもしれない。

菅原康晴(フリーライター)


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