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石炭・亜炭・炭砿スレ

1とはずがたり:2012/12/17(月) 23:11:36
日本では既に斜陽産業からほぼ過去の産業へとなった石炭関係のスレ。
新技術の可能性や廃炭砿の懐古迄。

88とはずがたり:2016/11/08(火) 13:14:35
>実際、中国の石炭需要は2013年をピークとして、2014年には前年に比べて1億4000万トンの減少(マイナス3.3%)、2015年はさらに2億トン減少(マイナス4.8%)し、かなり急速に減っています。

>なぜか2013年以降も石炭産業への投資が続いて生産能力が増加し、2015年末には生産能力は57億トンに達しました。石炭の実際の生産量は37億4700万トンにとどまったため、20億トン近い生産能力が過剰という異常な事態になりました。

丸川知雄
中国経済事情
ゾンビたちを墓場から呼び戻す愚策――石炭増産指令の怪
http://www.newsweekjapan.jp/marukawa/2016/11/post-20.php
2016年11月01日(火)17時10分

<中国では鉄鋼と同じく石炭も過剰生産能力を抱えているのに、中国政府は先週、石炭大手に増産を命じた。これは、効率が悪く経営が傾いていた石炭大手救済の総仕上げだ>

 10月26日の朝、いつものように日本経済新聞を開いたら、「中国政府が石炭大手22社に早急な増産を命令した」という記事が目に飛び込んできました。前日に都内某所で講演をした際に、私は「中国にとっての今の重要課題は鉄鋼業と石炭産業の過剰生産能力を減らすことです」と話したばかりでした。石炭の生産能力を削減しているはずなのに増産を指令するとはいったいどういうことなのか? 私は間違った情勢判断を話してしまったのでしょうか?

 いろいろ調べてみると、やっぱり石炭産業の過剰能力問題は依然として深刻であるものの、足元では石炭の供給不足になっていて生産を拡大する必要があることがわかりました。ただ、供給不足に陥った背景には、産業の効率向上には逆行し、本来石炭産業から退出すべきゾンビ企業を蘇らせようとするかのような中国政府の愚策があることが見えてきました。

 そのことを説明するために、少し過去にさかのぼりたいと思います。石炭は中国のエネルギー消費の7割前後を担う重要なエネルギー資源であり、電力の8割も石炭を中心とする火力発電によって担われていますから、中国政府は長く石炭の価格を低く抑える政策をとってきました。国有炭鉱は赤字経営であったにもかかわらず生産を継続した結果、安い石炭や電力が潤沢に供給されて、中国の経済発展を下支えしてきました(堀井伸浩「エネルギー:低価格誘導政策の見直し」渡邉真理子編『中国の産業はどのように発展してきたか』勁草書房、2013年)。

需要減少でもますます投資
 ただ、電力産業などに低価格で石炭を提供する役割は主に大手の国有炭鉱によって担われましたから、石炭の低価格の代償として国有炭鉱の慢性的な赤字問題が起きました。そこで、中国政府は次第に石炭価格への介入を減らし、2013年にはついに発電所に供給する石炭についても炭鉱企業と発電企業が自由に価格を決められるようにしました。

 政府はこの時に炭鉱企業と発電企業との間で石炭の供給を中長期的に契約することを期待していたのですが、どうやらそのような中長期的な契約関係が構築されなかったことがいま起きている石炭不足問題の伏線になったようです。当時、石炭価格は下落傾向にありましたから発電企業としては炭鉱と中長期契約を結ぶよりスポットで買った方が有利だと考えたのでしょう。

 実際、中国の石炭需要は2013年をピークとして、2014年には前年に比べて1億4000万トンの減少(マイナス3.3%)、2015年はさらに2億トン減少(マイナス4.8%)し、かなり急速に減っています。2015年のCOP21で中国政府が温室効果ガスの排出削減について踏み込んだ約束をしましたから、二酸化炭素を天然ガスよりも多く排出する石炭に対する需要は今後ますます減少していくと見込まれます。こうした需要の減少、および今後の見通しを反映して石炭の価格も2013年以降低迷しました。

 ところが、なぜか2013年以降も石炭産業への投資が続いて生産能力が増加し、2015年末には生産能力は57億トンに達しました。石炭の実際の生産量は37億4700万トンにとどまったため、20億トン近い生産能力が過剰という異常な事態になりました。もっとも57億トンの石炭生産能力のなかにはすでに採掘を停止した炭鉱や、政府の許可を得ずに開発された炭鉱まで含まれているので、それらを除けば47億トンの生産能力ということになります。それでも10億トン前後の生産能力が過剰です。

89とはずがたり:2016/11/08(火) 13:14:45
>>88-89
 2016年から、鉄鋼業と石炭産業の生産能力過剰を段階的に解消していくことが重要な政策課題になり、過剰解消のショックを和らげるための補助金も提供されることになりました。ところが、中国政府は何を血迷ったか、2016年3月になって石炭の生産そのものを制限する政策を打ち出しました。2015年までは炭鉱の生産能力は年間330日稼働することを前提に計算されていたのを、土日と祝日はすべて稼働を停止するという計算に基づき、年間276日のみ稼働を認めることとしました。そのため、各炭鉱の生産が一律に前年の84%(=276/330)に削減されることになったのです。

 この政策が徹底された結果、2016年3月から実際に大幅な減産が行われ、2016年1〜9月の石炭の生産量が前年比で10.5%減少しました。石炭の供給が減った結果、石炭価格が6月頃から急激に上昇しはじめ、石炭火力発電所での石炭のストックが20日分以下に落ち込んで、電力供給も危ぶまれるような事態に陥りました。そこで政府は10月下旬に発電や市民の暖房用の石炭の供給拡大を指令するとともに、電力企業と石炭企業とが中長期の売買契約を結ぶよう促し、今後価格の上下動があっても電力企業が石炭を確保できる態勢を作らせようとしています。

減産で生き返った大手企業
 このように10月下旬の石炭増産指令は3月の減産指令の行き過ぎを是正するためのものですが、この3月の減産指令は、一見して過剰生産能力の解消にプラスであるように見えて、実はむしろ過剰生産能力を温存し、産業から退出すべきゾンビ企業を蘇らせる愚策でした。

 中国政府が行った生産削減指令と、生産能力の削減とは字面は似ていてもその中身は正反対といっていいぐらい対照的です。そのことは、自由競争のもとで生産能力の過剰があった場合に何が起きるかを考えればわかります。こうした状況のもとでは石炭価格は下落するはずですから、生産コストが高い石炭企業は苦境に陥って倒産したり、炭鉱を閉める一方、コスト競争力のある石炭企業はむしろ市場シェアを拡大するでしょう。実際、3月の減産指令が出る前まで石炭価格は低迷し、一部の石炭企業がシェア拡大のために石炭を低価格で投げ売りをしていました。そのままの趨勢に任せれば、競争力の低い企業が退出して過剰な生産能力が減少していったはずです。著しい過剰生産能力がある局面では、まさにそうした弱肉強食の残酷な競争を通じて需給関係が調整されるのが市場メカニズムというものです。

 ところがここで中国政府が減産指令を出した結果、市場メカニズムの作用は途中で止められてしまいました。減産指令は実質的にはカルテルとして機能し、過剰生産能力があるのに石炭価格が高騰する結果を招きました。

 日本経済新聞によれば中国政府は大手石炭企業22社に増産を指令したとのこと。このことから3月の減産指令は、実は大手石炭企業を救済するための政策であったことが透けて見えてきます。

 前回このコラムhttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/study/2246/1070723570/1591-1593で、中国の鉄鋼業に関して、大手鉄鋼メーカーのほうが実は中小鉄鋼メーカーよりも経営効率が劣るのだと指摘しましたが、石炭産業においてもまったく同様の構造があります。2014年の場合、大手石炭企業90社が生産量では中国全体の69%を占めていましたが、利益では石炭産業全体のわずか5%を占めるのみでした。つまり、石炭生産量あたりの利潤を計算すると、大手石炭企業90社の利潤率はその他の中小石炭企業の利潤率の42分の1でしかなかったということになります。

 石炭産業の場合、大手石炭企業は発電所など重点分野に低価格で石炭を供給する任務を負わされてきたから利潤率が低かったり、赤字だったりするのだ、という言い訳がかつては成り立ちましたが、2013年に価格も取引も自由化されたはずなので、もはやこの言い訳も通用しません。

 2014年以降の石炭需要の減少と価格低迷のなかで、大手石炭企業の多くが苦境に陥り、市場からの退出を迫られていたところ、2016年3月の政府の減産指令によって大手も中小も一律に生産削減を命じられたことで石炭価格が急騰したので、大手石炭企業は苦境を逃れることができました。さらに10月下旬に大手石炭企業22社にのみ増産を認めたことは、3月以前には死にかけていた大手石炭企業の蘇生をより確実にする措置と言えましょう。せっかく市場メカニズムがゾンビたちを墓場で眠らせようとしていたのに政府の介入によってゾンビたちを蘇らせようとしているのです。結局、石炭産業の過剰生産能力問題の解決が遠のいてしまいました。


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