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非自民非民主系保守
2144
:
名無しさん
:2010/08/07(土) 12:01:38
保守論:平沼赳夫の場合
話は再び、今年1月に戻る。前述したとおり、私は平沼から3度目の「新党構想」についてじっくりと話を聞いていた。「民主党政権は左翼的な政策が目立つ。私のような保守から見ればあまりにもひどい。だが、民主党がこの体たらくなのに、なぜ、自民党に支持が戻らないのか。それは保守政党としての原点を忘れているからだ。
政権交代直後の自民党総裁選には3人の候補者が出た。ところが、立党の精神でもある自主憲法制定を言った者が一人もいなかった。安全保障を語った者も一人もいなかった。中長期的な経済成長についても議論にならなかった。
自民党には保守としての綱領が存在する。だが、自民はそこを真剣に議論して保守の旗を立てているだろうか。今日の自民党の個々の議員を見ていくと、リベラルばかりが増え、その点が曖昧になってきた。もう一度、純化路線に戻して政界再編を起こす時期が来たと私は考えている」
―あらためて伺うが、平沼さんが主張する保守とは?
「伝統や地域、家族を大事にし、守るべきものを守りながら緩やかな改革を目指す―それが本来の保守だ。急激な変化は単なる破壊でしかない。日本人がこれまで作り上げてきたものをしっかりと踏まえながら、変えるべきは変えていこうということだ」
―平沼さんが考えている新党とは具体的にどんな陣容になるのか。
「あんまり教条主義になるなと、みんなから言われるよ(笑)。反省して気をつけてはいるんだが。保守は懐が深い。でも肝心の部分は譲れない。私の言う保守に賛同してくれる人は自民党にも民主党にもいる。自民で言えば真・保守政策研究会の仲間や、鴻池さんも新党に参加してくれるはずだ。民主党にも、長島昭久(現防衛大臣政務官)さん、渡辺周さん、松原仁さんらがいる。彼らは保守だし、一緒にやっていけると思う」
4月10日の「たちあがれ日本」結成の会見場に姿を現したのは、平沼のほか、藤井孝男、中川義雄、さらには自民党を離党した与謝野馨や園田博之だった。だが、これが平沼の目指した「真の保守政党」だったとはどうしても思えない。何よりも、3ヵ月前に平沼自身が熱く語っていた、城内や鴻池といった、“保守の同志”が一人も参加していない。「応援団」として会見場に駆けつけた石原慎太郎が、いくら祝辞を述べたところで、しらじらしいだけだ。
もしも保守政党であるならば、財政再建派として知られ、郵政民営化にも積極的に賛成したリベラルの与謝野馨が加わっているのはどうしても違和感が残る。 平沼と与謝野は名門・麻布高校の同級生であり、以来半世紀にわたる友情が二人の間には存在する。自民党を出て孤立無援の平沼を与謝野は励まし続けてもきた。大病を患い、死線をさまよったあげく、政界復帰を果たしたという共通点もまた、二人の絆を深めたのかもしれない。
だが、あえて言うなら、平沼は情に折れたのではないか。もっと言うなら、「保守は懐が深い」故に、「譲れない」部分を譲ってしまったのではないだろうか。
あえて非情になれ、と言うつもりはない。ベテラン政治家の与謝野の実力を否定するつもりもない。だが、保守の理念を鮮明にした政党をつくる千載一遇のチャンスを、平沼は逃したと言わざるをえない。
4月10日の会見時に配られた「たちあがれ日本」の綱領や基本戦略には平沼・与謝野らの政策志向があいまいにミックスされた、きわめて総花的な印象を受けた。市場主義一辺倒に真っ向から異を唱える「保守の旗」を掲げた政党が出現していれば、国民の政党選択肢としては非常にわかりやすかったはずである。曖昧な自民党を嫌って復党しなかった平沼が、結局選んだのは曖昧な“ミニ自民党”になってしまった。だからこそ、私は平沼の無念を感じるのだ。
2006年、初めて平沼の新党構想を聞いた時から、平沼の発言はまったくブレることがなかった。その政治家としての姿勢に私は政治記者という職種を超えて、ある種の“好感”を持った。だからこそ平沼にはこう言いたい。
―7月の参院選を終えて政界が再編に突入していく時、その時は、政治生命を賭けて「たちあがれ日本」を解党すべきだ。そして、己の理念に忠実な、保守に特化した旗をもう一度立て直すべきだ―と。
http://g2.kodansha.co.jp/177/178/430/431.html
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