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西洋史

81とはずがたり:2017/11/16(木) 15:08:47
 七年戦争よりも早く1754年に始まったフレンチ・インディアン戦争で、真っ先に被害を受けたのは、ヌヴェル・フランスとは別に形成されたフランス植民地アカディア(現在のノヴァスコシア、ニューブランズウィック、プリンスエドワード諸島など)である。アカディアには1633年頃からラ・ロシェル出身者300人が入植し、沼沢地を埋め立てて苦心のすえに開拓地を築いた。イギリス植民地ジェイムズタウンと隣接していたこともあり、ヨーロッパで戦争が起きるたびに支配者が目まぐるしく交替したため、住民は自らをアカディア人と名乗り、英仏どちらにも属さない自主独立路線を歩むことにしたが、フレンチ・インディアン戦争が始まるとこうした中立路線も意味をなさなくなる。

「彼ら(イギリス軍)は一七五五年ボセジュールなどシグネット地峡にある砦を攻略したが、この成功を契機に、彼らがこれまで腐心してきたアカディア人の処遇の最終的決着に踏み切った。同年八月ノヴァスコシア総督チャールズ・ローレンスは約一万五〇〇〇人のアカディア人にたいして強制追放を命じたのである。その結果、同年中に三〇〇〇人以上が土地や財産を没収されて十三植民地に離散した」(前掲『カナダ史』)

 ロングフェローの『エヴァンジェリン――アカディアの恋物語』が伝えるこのディアスポラにより、アカディア人たちはヌヴェル・フランスやフランス本国、あるいはルイジアナ植民地に散っていった。ルイジアナに移ったアカディア人たちは現在アケイディアナと呼ばれる土地に定着し、ケイジャンという独特の料理を生み出した。

 フレンチ・インディアン戦争はというと、こちらは前半はモンカルム将軍率いるフランス軍優位で推移した。フランス軍が軍事顧問団方式でインディアンの部隊を組織し、圧倒的に少数の自軍と同盟させて奇跡的勝利を勝ち得たのである。

 ところが、大敗北の知らせがイギリス本国に届くと、ホイッグ党のウィリアム・ピット(大ピット)の強硬外交派がニューカッスル内閣を組織し、1758年に大規模な正規軍を北米に送り込むと同時に、フランス艦隊が出撃できないように大陸封鎖を行った。

 これに対し、ヨーロッパの戦いに戦力を集中したいフランスはヌヴェル・フランスを救うために増援軍を送るのに消極的だった。

 結局、この本国政府の姿勢の差がもろに北米での戦闘に影響を与えることになった。1758年、難攻不落のルイブール砦が陥落、翌年にはヌヴェル・フランスの中心都市であるケベックの砦が陥落して勝敗は決した。1760年9月に総督ヴォドリュイユ侯が降伏文書にサインしてヌヴェル・フランスはイギリスの軍政下に置かれることとなった。そして1763年のパリ条約でフランスはミシシッピー以東の北米植民地をイギリスに割譲、ミシシッピー以西のルイジアナもスペインに譲渡し、北米植民地をすべて失うことになったのである。

インドの運命を決めた英仏決戦
 それでは、七年戦争に連動した植民地の戦いのもう一方の極であるインドでの戦争はどのように展開していたのだろうか?

 フランスはジョン・ローのデフォルトで国債が帳消しになり、国力が回復すると1730年代からポンディシェリーを拠点にイギリスの「東インド会社」と激しい鍔(つば)ぜり合いを演じるようになる。

 英仏の東インド会社の違いは、イギリスのそれがあくまで民営であったのに対し、フランスのそれは国策会社の色彩が強かったことに尽きる。そのため、フランス東インド会社の軍隊はフランス本国から派遣されたフランス領インド総督の指揮下に置かれ、実態的にはフランス植民地軍と同じだった。

 このフランス・インド総督軍とイギリスの東インド会社の軍隊がインドの地方の太守国の内紛に介入して三次にわたって戦ったのがカーナティック戦争である。

 カーナティック戦争では、第二次の戦争までは、フランス領インド総督ジョゼフ=フランソワ・デュプレックスの総指揮によりイギリスの東インド会社軍に対して有利に戦いを進めていた。

 デュプレックスはフランス東インド会社の総書記をつとめた父親の勧めで1720年に「フランス両インド会社」に就職、ポンディシェリーに赴任すると、たちまち頭角を現し、1742年にはフランス領インド総督に任命された。

 デュプレックスが採用した軍事方針は、軍事顧問団方式でインド人歩兵にフランス式の操銃訓練を施して、フランス人将校の指揮下に置くというものである。こうして組織化された現地軍は騎兵中心のインド諸侯軍を撃破し、これを配下においたり、同盟を組んだりして、イギリスとの対決に備えた。


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