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とはずがたり
:2018/06/24(日) 22:56:56
日本企業の研究開発の効率性はなぜ低下したのか*
http://esri.go.jp/jp/archive/e_dis/e_dis047/e_dis047a.pdf
by
榊原 清則(慶應義塾大学総合政策学部教授) **
辻本 将晴(慶應義塾大学大学院博士課程)
2003 年 6 月
1.はじめに
日本企業の研究開発は売上げや利益につながっているのだろうか----。研究開発との関連で日本の製造業企業はいま、こういう素朴な疑問に直面している。研究開発の効率性が低下してきているのではないかという問題である。
この問題は、たとえば次の2つの観察によって確かめることができる。第1は研究開発投資と設備投資との対応関係の観察である。第2は研究開発投資と利益との対応関係の観察である。
一般的にいって、個別企業の経営の目的は事業活動をつうじて経営成果をあげることであり、端的には利益の獲得である。企業は研究開発活動によって何らかの技術をつくり、何をどう作るべきかについて一定の見極めができた時点で設備投資を敢行する。設備が立ち上がったら、できるだけ稼働率を高めるように努力し、売上げを立て利益を獲得してゆく。その結果さらに拡大投資に進むことができれば、ビジネスサイクルがポジティブに回っていくことになる。
このような流れでみると、研究開発の効率性を問題にする場合、時間的に先行する研究開発投資がその後の設備投資や利益獲得にどう対応しているかを確かめることは、個別企業を分析単位とする場合、まずは素直なアプローチであるように思われる。そこで、日本企業について、この点に関する先行研究を紹介するのが本稿の最初の作業である(2、3)。
第2に、研究開発と企業成長との関係を調べた米マッキンゼーの調査を紹介する(4)。彼らは通説に異を唱え、研究開発と企業成長との間に一般的な関係は存在しないと主張している。第3に、従来おもに経済学者が進めてきた、研究開発投資の収益率に関する分析をとりあげ、推計結果と推計をめぐる問題点を紹介する(5)。
以上のレビューで、研究開発の効率低下が疑問の余地なく確認できるわけではない。だが効率低下を示唆する研究がたしかに多いようである。
2.研究開発と設備投資
まずとりあげるのは研究開発と設備投資との関係である。この関係については有名な児玉文雄の研究(1991)がある。児玉が作成した図表1は、1980 年から 87 年までの期間における、日本の全上場製造業企業の研究開発費と設備投資額の総額を棒グラフに示して比較対照している。グラフ作成にあたっては、研究開発費は総務庁(当時)のデータが、設備投資額は通商産業省(同)のデータが、それぞれ使われている。
1980 年から 87 年までのデータがとられた理由は、児玉の著書の刊行時点(91 年)で利用できた、いちばん新しいデータが使われたからである。しかし、研究開発費が設備投資額を凌駕するという注目すべき「逆転」現象が起きたのはまさにその期間においてなので、その現象をふりかえってみる上で、このグラフは今日でも参照の価値がある。
…
このグラフから、どういう示唆が得られるか。導き出されるひとつの素直な示唆は、研究開発の効率が落ちてきたということである。
産業特性にもよるが、一般に製造業の発展過程をみると、その発展の当初は技術のキャッチアップ段階にあるので、後発国のメーカーは、相対的に産業化が先行した国や地域や企業から先進技術を学習し、それを活用して設備投資を実行し、売上げと利益をつくっていく。その過程では、技術をフリーライド(ただ乗り)する部分があり得るので、設備投資額が研究開発費を上回ることが多いと考えられる。しかしながら、キャッチアップ段階を経て技術フロンティアに立つと、以後は文字どおり未踏の研究開発に従事しなければならなくなり、それを支える企業の研究開発投資は高水準を保つか、あるいは増やす必要がある一方、研究開発成果を設備に実体化するのは容易ではなくなる。試行錯誤的にいろいろな研究開発を試みなければならず、いわば「ムダ玉」に終わる研究開発活動が増えて行かざるを得ないからである。
その結果、産業発展のどこかのタイミングで、個別企業の設備投資をその研究開発投資が上回ってゆく現象が起きるかもしれない。児玉のいう逆転現象である。もちろんこの現象が多くの企業で観察されるかどうかは一概にはいえず、代表的な米企業、たとえば後述する IBM やインテルでは逆転していない。が、もしも一国の多数の企業で逆転が起きれば、国レベルで集計しても逆転が起きる。この逆転現象が、図表1によれば 1980 年代後半に日本の製造業で起きたのである。
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