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各種イノベーション・新発明・新技術など

283とはずがたり:2015/10/07(水) 09:39:19
>>282-283
「市場の声を聞く」ことは是か非か
なぜ日本メーカーからはイノベーションが生み出されにくいのだろうか。これには携帯電話端末メーカーに限った話でもなく、日本企業、日本人ビジネスパーソンの多くが陥りやすいワナがありそうだ。それは「市場の声を聞きすぎる」ことである。

多くの日本企業は積極的な市場調査を行う。アンケートやインタビューなどで消費者の生の声を拾うだけでなく、間に立っている販売店など流通者の意見も聞く。「聞かされる」という側面もあるかもしれない。

そして、日本人ビジネスパーソンの多くは、「消費者に支持される商品やサービスなどの開発を進める際には、作り手の論理を押しつける(プロダクト・アウト)のではなく、市場に聞いてそれに応える(マーケット・イン)のが望ましい」と教育されてきた。今ある市場ニーズに合致した商品やサービスをつくるのが正しいという考え方だ。

ところが、iPhoneを世に送り出したアップルの故スティーブ・ジョブス氏にまつわる過去のいくつかの文献や記事を探ってみた限りでいえば、ジョブズ氏は市場調査を重視してはいなかったようだ。今、消費者が持っているニーズを聞いてそれに答えるよりも、消費者が気づかなかった新たなニーズを作り出すことに重きを置いた。それがイノベーションの源泉になったといえるだろう。

ジョブズ氏は、経営者としてのリスクを厭わず、一度、アップルを追い出されているほど個性の強い人物だった。経営者だったが、たぐいまれな商品開発者だったともいえよう。だから、当初予定日に遅れても、納得のいく開発を優先し、しばしば商品の投入が遅れることもあった。通常の経営者であれば、これを許すことは滅多にないはずだ。

同じスタンスで臨める日本企業のトップがどれだけいるだろうか。多くの場合、企業トップが商品開発に直接携わることは少なく、担当役員レベルに権限移譲しており、トップ自身は現場を離れて時間が経っている。スキル的にもセンス的にも難しい。

加えて、創業経営者でなければ、コンセンサス型リーダーシップ(日本企業に限らず)が一般的なので、独断で突っ走るということはあまりないだろう。それに、市場リリースが遅れることに起因する逸失利益に対して、去就のリスクをとれるか、という点もある。日本の上場企業で役員報酬が年1億円を超えるのは500人弱。サラリーマン社長の場合、数千万円をもらえれば御の字で、思い切ったリスクを取ることに躊躇するのかもしれない。

日本企業は「謙虚」でいいのか
このように考えると、日本企業のイノベーションを阻害しているのは、経営トップの姿勢にありそうだ。端的に言えば、「どこに軸を置くか」の違いだ。たとえば、「市場に聞かない」アップルは、一見すると自身に軸を置いて「傲慢」に振る舞っているように見え、「市場に聞く」日本企業は市場に軸を置いて「謙虚」に消費者に応えているようにも見える。

ただし、それはイノベーションという観点で考えると、必ずしも正しくない。少し見方を変えればアップルは結局、「消費者から見てこれが欲しかった商品やサービスをつくる」という観点を持っている。日本企業が市場の声を聞くというのは、ほとんどのケースで「今ある発想を超えられない」。そして「流通者の事情を最大限忖度することにも実は重きを置いている」というふうにもとらえられる。

どちらが消費者の支持を得られるのだろうか。実は誰から見てもシンプルに答えが出せる構図がそこにはある。


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