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各種イノベーション・新発明・新技術など
272
:
とはずがたり
:2015/09/23(水) 07:33:12
>>271-272
セルロースは、木質の重要な成分の一つである。この繊維が、場合によっては高さ100メートルの樹木を支え、屋久杉のように数千年も生き続ける素材だ。そして法隆寺のように1000年経っても強度を保つ。このセルロースを超極細のナノレベルまで分離すると、セルロースナノファイバーと、さらに小さなセルロースナノクリスタルとなる。
すると鋼鉄の5倍の強さを持ち、比重は5分の1という軽量・高強度な機能を有するようになる。さらに低熱膨張性、生分解性、生体適合性、可食性など優れた特性を示す。また加工の仕方次第で透明なシートにもできるのだ。
その特徴を生かし、さまざまな用途が考えられている。保水力と粘性を活かせば食品、化粧品、塗料、接着剤、あるいは医薬品における安定剤を製造するのに有用になる。また強度と軽さを利用して繊維強化複合材料を製造することもできるだろう。いつか鉄など金属マテリアルに取って代わる時代が来るかもしれない。
なによりセルロースナノファイバーはバイオマス由来で地球上で最も多く存在する炭水化物であり、太陽の光と水、二酸化炭素があれば再生産可能だ。樹木に限らず、竹でも稲ワラなど草本類でも海藻でも取り出せる。つまり尽きぬことのない資源なのである。世界中には1兆トンのセルロースが蓄積されている。
だから次世代の産業資材であり、環境に優しいマテリアルとして注目され始めたのだ。
日本には豊富な森林資源がある。それも多くが未利用な状態で眠っている。現在はバイオマス発電の燃料として燃やすことばかりに目が行っているが、そんな使い方はあまりにもったいない。
燃やせば二酸化炭素が発生するだけだが、セルロース資源を先端材料として利用して社会に蓄積すれば、地球温暖化の防止や循環型社会の構築にも貢献できるだろう。
このナノセルロースの研究は、北欧や北米など世界的に取り組まれているが、とくに世界をリードしているのは日本だ。
今回の東京大学の磯貝チームはセルロースナノファイバーの研究で、また京都大学生存圏研究所の矢野浩之教授のグループはセルロースナノクリスタルの研究で知られているが、ほかにも京都市産業技研グループや岡山グリーンプロジェクト、そして九州大学の近藤哲男チームでも精力的に研究されている。
ただ樹木からナノレベルまでセルロースを完全に分離するためには、これまで莫大なエネルギーと化学薬品を使用しないと難しかった。それが壁だったのだ。
ところが磯貝教授を中心とする3人のチームは、従来にない高効率でセルロースをナノファイバー化することを可能にしたのである。特定の酸化反応を使用したところ、幅3ナノメートルという均一なナノ材料を完全に分離できたのだが、それに要するエネルギーは従来の20分の1以下と劇的に低下させた。これは、産業化への大きな前進となるだろう。
今回の授賞は、その業績に与えられたのである。
おそらくセルロースナノファイバーの実用化に大きな弾みとなるだろう。今回の授賞は、世界が注目していることを示しており、競争の激化が想像できる。
それなのに日本のマスコミの扱いの冷たいことよ。授賞の知らせが舞い込んだのと同じ頃に東京大学で注目されていたのは、忠犬ハチ公の新しい銅像だったのだから……。
マルクス・ヴァレンベリ賞の授賞式は、今秋9月28・29日にストックホルムのグランドホテルで、スウェーデン国王夫妻をお招きして行われる。日本の研究にもっと弾みをつけるためにも、栄誉を讃えたい。
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