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各種イノベーション・新発明・新技術など

233とはずがたり:2015/03/26(木) 13:14:52
>>231-233
 ただし、中国にまで視野を広げてみると、単純な模倣の段階にあったはずの中国企業は、だんだんリバース・エンジニアリングの段階に近づきつつある。同じビジネスモデルで今後、韓国企業は中国企業と競争を強いられることになるわけだ。

 従って、もう少し時間が経つと、韓国企業も苦しくなる局面が増えるかもしれない。韓国企業が技術的イノベーションを起こせるような方向に進むかというと、それも疑問だからである。サムスン電子も例外ではない。

 技術的イノベーションは研究開発に時間をかけて、じっくりと取り組むという条件下で初めて実現できるものである。つまり、地政学的、社会的な安定性が不可欠だ。しかし、日本に比べたら現在の韓国も中国もそこまでの安定性がない。日本についていえば、その地政学的、社会的な安定性は、欧州に比べても高い。イノベーションを起こせる国は、世界にそう多くはないのである。

 ただ、それにしても、技術的イノベーションを得意とする日本が、なぜスマホを造り出せなかったのか、筆者も不思議に思う。日本は、ほとんどの技術を既に持っていたのに、それらを組み合わせてスマホという新しい形にすることができなかったのである。

■リバースはクリエイティブな作業

 その背景には、多くの日本企業がリバース・エンジニアリングを設計作業とは考えていないことがあるのではないだろうか。その考えは間違っていると思う。リバース・エンジニアリングは設計技術者が手掛けるべき「クリエイティブな作業」である。

 ここで注目すべきは、「設計」がどこまでの作業を指すかである。筆者の考えでは、製品の基本構造を決めるまでが設計、すなわち設計者が手掛けるべき作業と考えている。要求仕様を基に、どのような機能をどのような構造で実現するかを決めることが重要だ。

 そして、サムスン電子のリバース・エンジニアリングも個々の製品の基本構造を決める活動である。さまざまな試行錯誤を伴って、どの機能を盛り込んでどの機能を外すか、あるいは新たにどんな機能を追加すべきか、さまざまな角度で検討して決めていく。

 構造が決まった後、量産が可能なように詳細を詰めていくことは試行錯誤ではなくオペレーションといえる。そこに設計者の能力を使ってしまっているのが、日本企業である。

特に日本では、設計者に3D(3次元)-CAD(コンピューターによる設計)を使わせるという、とんでもない考え方が主流なのはなぜだろうか。3D-CADは立体形状を扱うから、少なくとも構造が決まっていないと使い始められない。それなのに設計者に3D-CADを使わせるということは、構造が決まってからのオペレーションに設計者を長く拘束することにほかならない。これでは設計者の能力がどんどん落ちてしまう(図4)。

http://tohazugatali.we b.fc2.com/industry/7555918012082014000000-PN1-13.png
図4 設計技術者は構造を決めるまでが仕事。日本の設計技術者は、構造が決まって初めて使い始められるはずの3D-CADを自ら利用している。これでは設計者の能力がムダに分散されてしまう

■設計者の仕事とオペレーターの仕事

 3D-CADは金型設計製作や、なめらかな曲面の表現など、さまざまなところに役立つから3D-CADが不要だというつもりはまったくない。しかし、構造が決まった後のモデリングなどの作業はオペレーターに任せるべきだ。筆者はサムスン電子ではそのようにしたし、韓国から帰国後もさまざまな日本企業でこの話をした。

 ある日本の自動車メーカーは「やっぱりそうか」と、設計者が3D-CADを使うのをやめさせて、オペレーターに任せることにしたそうだ。

 リバース・エンジニアリングを行う場合はもちろん、イノベーションに重点を置くのであればなおさら、構造を決めるまでが大切である。しかし、日本企業の多くは設計者自身が3D-CADを使っていることを自慢にさえしている。実に不思議なことだ、といわざるを得ない。

[ものづくり維新 世界で勝つための10箇条の記事を基に再構成]


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