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各種イノベーション・新発明・新技術など

188とはずがたり:2014/04/04(金) 20:51:01

>>186-188
「表の競争力」と「裏の競争力」

 消費者からみると製品の競争力は、「表の競争力」と「裏の競争力」に分けられる。「表の競争力」とは、デザインや価格、五感で判断できる品質、納期、サービスなど、一般の消費者に分かりやすく、その商品を欲しいと思わせる力だ。売れている実績がその力になることも多く、広告やブランドも、表の競争力に含まれる。企業の業績も、消費者の信頼に直結する重要な表の競争力だ。未成熟な新興国市場では、この「表の競争力」がとりわけ重要な意味を持つため、サムスンは「表の競争力」を高め、分かりやすく訴求することを最優先に考えている。

 一方、「裏の競争力」とは、その企業がつくる製品の品質や、それを支える生産性、生産方式、組織能力などだ。製品の品質は結果的に消費者に理解されることもありうるが、生産リードタイムやカイゼン活動など、その品質をいかに支えているかは、消費者には全く見えない部分だ。

 日本の企業はものづくりにおいて、この「裏の競争力」を磨くことに傾注してきた。しかし、消費者から見たとき、その製品を「生産性が高いから買う」という話にはならない。使ってみれば、なるほど故障しにくいとか、品質の良さを実感するということがあるにしても、買ってもらえないことには、理解してもらう術はない。

 「プラズマクラスターはシャープだけ」「"黒を極めた"プラズマ」といったキャッチフレーズは、いくらそれが技術的に難しいことであっても、消費者にはなかなか理解できない。こうした「裏の競争力」を企業が宣伝するようになったら、その製品はコモディティー化しており、その企業は「表の競争力」で差別化できていないのではないか、と疑ってかかったほうがいい。

 新興国の台頭により、市場の欲求は多様化し、競争力も多様化している。サムスンが体現しているように、「相手の文化を知らずしてものは売れない」時代になったということだ。一部の日本企業のように「よいものをつくればどこでも売れるはずだ」と構えていたのでは、グローバル市場では通用しない。競争力とは、その製品が「消費者に選ばれる力」であり、グローバル市場で勝つのは、「消費者に選ばれた」企業なのだ。


吉川 良三 (よしかわ りょうぞう)
1940年生まれ。63年、日立製作所に入社後、CAD/CAM(コンピューターによる設計・製造)システムの開発に従事。89年よりNKK(現JFEホールディング)エレクトロニクス本部開発部長として、次世代CAD/CAMシステムを開発。94年から韓国サムスン電子常務として、CAD/CAMを中心とした開発革新業務を推進。2004年に帰国後、東京大学大学院経済学研究科 ものづくり経営研究センター特任研究員。著書に「危機の経営」(2009年、講談社、畑村洋太郎共著)、「サムスンの決定はなぜ世界一速いのか」(2011年、角川書店)、「勝つための経営」(2012年、講談社、畑村洋太郎共著)など。


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