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各種イノベーション・新発明・新技術など

187とはずがたり:2014/04/04(金) 20:50:43

 逆に地域によっては、他の携帯にない機能をつけることもありうる。これはサムスンではなくLG電子の製品だが、イスラム圏の国向けに、聖地メッカの方位を示し、1日5回の礼拝時間をアラームで知らせたり、コーランの音声を流したりする機能が付いた携帯電話「メッカフォン」を売り出し、爆発的な人気を博している。こうなると、その商品が圧倒的なシェアを占めて携帯電話の代名詞になり、その商品をつくったメーカーは"その国のブランド"になることができる。

 インドにおける鍵付き冷蔵庫や、かさばるサリーを途中で止まることなく丸ごと洗える洗濯機、中国向けのジャガイモが洗える洗濯機、東南アジア向けの殺虫効果のあるエアコンなど、国・地域に合わせた製品づくりは携帯電話に限らない。いずれも国や地域ごとに、本当に必要とされる機能を厳選し、価格ははじめから現地の人が買える水準に合わせてつくられている。こうした地域のニーズを的確にとらえた商品開発により、サムスンやLGは新興国だけでなく、欧米でもシェアを伸ばしている。例えばワイングラスをモチーフにしたサムスンの液晶テレビは、価格は逆に日本製より2〜3割高いにもかかわらず、デザインを重視するフランスやイタリアで高い評価を受け売れている。

 サムスンの躍進には目覚ましいものがあり、2012年に薄型テレビ、スマートフォン、リチウムイオン電池(サムスンSDI)、携帯電話端末、DRAMなどで世界シェアの首位に立つなど、デジタル市場を中心にいまや日本を凌駕し、圧倒的な存在感を示している。

 このように、危機に直面したサムスンがとった戦略は、「日本と競合しない市場を開拓」し、「機能や仕様を現地向けに開発」することだった。日本を手本にすることをやめ、第3回「世界で何が起こっているのか?〜ものづくりの勢力図を塗り替えたグローバル化とデジタル化」で述べたグローバル化、デジタル化に正面から対応を図ったと言い換えることもできる。もちろんそのためには、ものづくりにかかわるプロセスの革新や、多種多様な製品をつくるためのデジタル化時代ならではの製品開発戦略への転換、地域の事情を熟知したグローバル人材の育成など、従来のやり方を全てといっていいほど変える必要があった。サムスンが進めたこれらの改革については、次回以降改めて取り上げたい。

新興国の台頭に伴う「競争力の多様化」

 ところで読者の皆様は、「競争力とは何か」と聞かれたら、どう答えるだろうか。日本企業の経営者や技術者の多くは、「コスト競争力」と認識しているようにみえるが、筆者は、競争力とは「消費者に選ばれる力」だと考えている。商品に限らずサービス、あるいは、入学試験や入社試験、競技としてのスポーツなど、すべての競争は、「誰かが誰かに選ばれる」過程だ。そしてそこには何らかの「選ぶ基準」がある。

 短距離走やマラソンであれば、「タイム」という、世界的に統一された基準が用いられる。しかし、入学試験や入社試験なら、試験の点数、内申書、推薦、サークルやボランティアなどの活動経験、面接、一芸に秀でたものがあるかなど、学校や会社によって、その基準は異なる。同じ筆記試験でも、語学、一般教養、応用力など、重視するものはさまざまだろう。

 ものづくりの世界において、その基準は比較的同質な先進国間で大きな違いはなく、日本で選ばれる製品は、欧米先進国でもおおむね受け入れられてきた。しかし、新興国が台頭し、アフリカも視野に入ってくると、これまでの30カ国程度から、一気に200カ国近くを相手にすることになる。新たに加わった市場では、文化や生活習慣、宗教、価値観、所得水準などがそれぞれに異なり、消費者が選択する際のファクターもさまざまだ。市場が広がり、「選ばれる基準」が多様化したら、それぞれの市場に合わせて戦い方を変える必要がある。いくら数学が得意でも、それだけで運動能力を重視する体育系の大学に合格できるわけではない。それがグローバル化の宿命なのだ。


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