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Tohazugatali Book Review

366とはずがたり:2016/05/16(月) 19:51:57
 「同じ委託販売といっても、米国のそれは短期、日本は長期、という違いがあるのではないか」とも考えられるが、各種資料を読むと、米国においても返品期限は契約によって異なり、かなり弾力的に運用されているらしい。

 例えば、2002年、コストコの平均陳列期間は6週間だった。(中略)モール内の書店の(中略)1990年代の典型的な陳列期間は3カ月から6カ月だった。スーパーストア(筆者注;1990年代に広まった郊外型の大型店舗)の同期間の平均値は6カ月から12カ月だった。独立系書店の陳列期間は当然、店によって大きく異なる。手っ取り早く売り上げを上げたい書店は短く、おすすめの本を細々と売りたい書店は何年も陳列する『Reluctant Caplitalists by Laura J. Miller』

通念に反して、米国やイギリスの書籍市場は、一種の「委託制度」を採用していることは間違いなさそうだ。

… ちなみに、返本率について述べておくと、年によって、書籍の種類によって違うが、日本ではすべての本の平均が約4割、米国ではハードカバーの返本率は約4割とされており、この点でも大きな違いはなさそうだ(米国の返品率は"Merchants of Culture" by John B. Thompson)。

「定価」も多数の国が採用

 「再販制度」や「定価」についてはどうだろうか?

 日本の出版業界の批判者の多くが、再販制度や定価に批判的であるが、前出のOECDのレポートは、次のような表を紹介している。

http://tohazugatali.we b.fc2.com/book/hayashi_oecd.png

この表は、OECD加盟国(50カ国)の全部をカバーしたものではない。しかし、対象の26カ国のうち実に18カ国が、なんらかの形で定価(Fixed Book Price)制度を採用している。OECDのレポートは、次のように説明している。

定価制度は、世界中の多数の先進国で、書籍産業が発達するのと並行して(普及した)。マスマーケットに向けた、より人気のある「ブロックバスター」を扱う書店や出版社が、高品質の、より文化的に価値のある本を脅かすのを防ぐため、書店団体と出版社団体の間で結ばれた業界協定によって、最低小売価格または「底値」が固定されたのが始まりである(46ページ)。

 ここにも見られるように、同じ「本の価格を固定する」制度といっても、すべての国が日本と同じような制度を導入しているわけではない。

 日本の再販制度は、法制化されたものだが、法律上の手当をせず(戦前の日本のように)業界内の協定で取り決めている国もある。また価格固定についても、売り出す価格そのものではなく、割引は許容しながらもその最低価格を定めたり、定価販売の期限を切る(時限再販)など、数値や時間に幅を持たせている場合がある。法制化されている場合でも、日本のようにそれ以外の契約ができる(つまり罰則はない)国と、フランスのように、違反者には罰金刑が課される国がある。

 しかし、いずれにしろ、本に「定価」を定めている国は、世界的にみて少ないわけではない、ということだけは言える。


これまで見てきたように、米国(そして英国)も、一種の委託販売制度を採用している。返本期限の長短などの違いはあるが、英米ともに返本の山に悩まされる関係者がいる。「商業主義の本ばかり売れる」「書店がどんどんつぶれている」などという悩みも、ほとんど同じである。参考書籍の中には、注文した書籍の支払いを遅らせる、日本でいう“延べ勘”や、そもそも支払いをしないで、全品を返本する書店の例などが挙げられていた。

 また「定価」についても、日本と同様に、固定価格制度を導入している国は多数あるのだ。




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