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人口問題・少子化・家族の経済学

1719とはずがたり:2017/08/11(金) 09:24:28
>>1718-1719
米国のベストセラー作家のマルコム・グラッドウェルは「人は、女性の候補者に対して、『こう見えるべき』という思い込みを持っており、それから外れるものを受け入れられない。特に、女性は謙虚さを求められており、クリントンはリーダー層の女性が持ってはならないとされる『野心』を持っていることを咎(とが)められている」と分析した。まさに男性の「情熱」と呼ばれるものは女性にとっては「野心」に代わる。

女性はあくまで、優しく、温かく、包み込むべき存在である、という社会的期待値が根強いため、「自己主張をし、自信があり、アグレッシブ」という男性特有のリーダーシップのスタイルを踏襲しようとする女性は「過度に攻撃的」「強引」と見なされる。つまり、「怒っている」ように見える閾値が圧倒的に女性のほうが低いのだ。だから、女性が声を上げて力強く訴えようとすれば、「金切り声で」「キーキーと」などと揶揄されてしまう。人は、幼少期の母親のヒステリーを想起させる、女性の感情のこもった怒声がそもそも本能的に苦手なのかもしれない。

2011年のスタンフォード大学ビジネススクールの研究によれば、男性的な力強さを時と場合によって使い分けられる女性が最も出世するのだそうだ。男性らしさと女性らしさをカメレオンのように使い分けられる女性は、男性型の(男性的志向の強い)男性の1.5倍、女性型男性の2倍、男性型の女性の3倍、女性型の女性の1.5倍の確率で出世をしたという。つまり、適度に男前な女性リーダーが最も受け入れられやすく、評価されやすいということだ。

さて、今日本を代表する女性リーダーといえば、東京都知事・小池百合子氏と民進党代表・蓮舫氏が挙げられるだろう。

共にキャスター経験者で、恵まれた容姿と歯切れのいいコミュニケーションスタイルという点は共通している。時は折しも、7月2日投開票が行われる都議選の真っ最中。「コミュニケーションオタク」としてさまざまなリーダーのプレゼンやスピーチを観察している筆者にとっては、格好の研究材料が街にあふれ返るときだ。早速、この2人の遊説を追っかけてみたが、なかなか興味深い考察が得られた。

小池氏は「戦略的コミュニケーション」に長けている

小池氏については、都知事選のコミュニケーション戦略についての記事でも触れたが、日本の政界では1、2を争うコミュ強者だろう。言葉の選び方、オーラの作り方、場のさばき方など、さまざまな工夫が凝らされ、確固たる計算に基づいて戦略的にコミュニケーションが行われていることがうかがえる。

何より、小池氏のコミュニケーションで舌を巻くのは、徹底した「感情のコントロール」である。それは、少しでも、声を荒らげたり、張り上げたり、力を入れすぎると、ヒステリックに怒って聞こえてしまうという女性特有の「罠」をよくわかっているからなのだろう。

弱すぎず(女々しすぎず)、強すぎない。そのコントロールが絶妙なのだ。そうした天才的手腕が垣間見えたのが、2016年末の会見の1コマだった。東京五輪会場の見直し問題で、「大山鳴動ネズミ一匹」ではないかという質問に対し、「ちょっと、それはたいへん失礼なんじゃないですか」と満面の笑顔で切り返したのだ。怒ったり、気分を害した顔ではなく、語気を荒らげることもなかった。あの場面で、怒りをいっさい見せることなく笑顔で切り抜けた荒技に、逆にすごみや怖さを感じるほどだった。

小池氏は会見や都議会においては、感情を抑えて受け答えすることが多いが、遊説ではかなりパワーアップし、力強い調子だ。しかし、決して「絶叫する」といったスタイルになることはない。競合相手をあからさまにディスることもなく、チクチクと突つく形なので、あまり攻撃的に聞こえることもない。適度な「男前」加減と女性らしい柔らかさが、安定感を印象づけるのだ。「やっぱり話うまいよね」。25日日曜日の昼下がり、銀座4丁目交差点で行われた遊説を聞く群衆の中からはそんな声が漏れてきた。

その20分後、同じ場所に民進党の蓮舫氏が登場した。白のジャケットに黒のパンツ。意外に小柄で華奢な印象だ。弁舌は切れ味鋭く、わかりやすい。ただ、強烈に「怒っている」。最初から最後までひたすら、怒気に満ち、あの「2番じゃダメなんですか」発言が脳裏をよぎった。まさに直球スタイルのコミュニケーションだ。きっと、これが男性なら、たとえば、共産党の志位和夫委員長なら違和感はないのかもしれない。

女性のキャリアの障壁のメタファーである「ガラスの天井」。しかし、女性リーダーは、天井が低いだけでなく、ガラスでできた高い床にも挟まれた狭い許容空間の中で、落としどころを探るしかないのが現状なのだ。女性のリーダーシップが声高に叫ばれながら、遅々として進まない背景には、こうしたコミュニケーションの「壁」があるということに気づく必要があるだろう。


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