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人口問題・少子化・家族の経済学

1072名無しさん:2015/06/14(日) 20:26:01
>>1071

 物価下落で実質所得が増えるにもかかわらず、高齢者の生活維持を名目として、平成12年度から3年間に渡って年金の名目水準が維持された。この「特例水準」と、年金法の規定通りに年金額が引き下げられた場合との差額は、毎年約1兆円もの給付増となる。今回の年金額の引き下げは、法律で定められた本来水準への復帰に過ぎず、すでに過去8年以上にわたって支払われた給付増加分は取り戻せない。

 集団訴訟の訴状にある、「物価上昇に対応したインフレスライド分から、特例水準解消のための年賦払いの1%を差し引くことは仕方ないが、物価が0.3%しか上昇しないのに、給付を0.7%の削減するのは財産権の侵害」とは、奇妙な論理である。これは、1%以上のインフレであれば、差し引き後も年金の名目額が前年に比べて少しは増えるが、さもなければ減るという違いに過ぎず、年金の実質価値(購買力)で見れば、いずれも同じことだからだ。

● 年金の世代間格差は無視して良いのか

 集団訴訟のポスターには、「若者も安心できる年金制度を」とうたわれている。これは「年金給付拡大の恩恵は、いずれ若者が高齢者になれば受けられる」という前提に依存している。しかし、これは人口の年齢構成が将来も不変という、少子高齢化社会と矛盾した前提に基づく、根本的な誤りである。

 現在の年金制度はGDPの額を上回る500兆円強の積立不足(隠れ債務)が存在している。これは現在の高齢者の年金給付が、勤労世代の積立金を取り崩すことで賄われているためだ。これに加えて、社会保障財政の慢性的な赤字の累積から、先進国の内では桁外れの1000兆円を超える公債残高が生じており、いずれも子どもや孫の世代に負担を先送りするものとなっている。

 高齢者はそれほど多くの年金を貰っていないというが、毎年の給付額よりも、過去40年間に男性の平均寿命が11歳伸びるなど、長寿化による生涯の年金受給額の増加が重要である。多くの先進国では、平均寿命の伸長に合わせて年金の支給開始年齢を67-68歳に引き上げ、平均的な年金受給期間を、男性で10年程度に抑制している。しかし、世界でトップレベルの寿命の日本では、男性の平均寿命が80歳に達した今日でも、年金の支給開始年齢を65歳以上に引き上げることは、政治的にタブーとなっている。こうした過去の年金政策の失敗が、もっぱらインフレに依存した実質給付の削減策となっている。


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