したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | メール | |

近現代史綜合スレ

975とはずがたり:2016/12/08(木) 15:13:10

 「怒鳴りつけた」が仮に本当でないとしても、それで白洲の株が下がるとは全く思わない。天皇の贈り物が軽んじられないようにきちんと英語で伝え、しかもそれをマッカーサーに実行させるというスマートなことができた日本人が当時、果たして白洲以外にいただろうか。天皇に敬意を払う日本人の思いをマッカーサーに率直に伝えたことは、東京裁判などから天皇の身柄を守る意向に傾いていたとされるマッカーサーの決意を、さらに固めたに違いないとも思う。

疑問2・白洲は「押し付け憲法」を嫌ったか

 白洲が日本の現代史上、最も活躍したのは、日本国憲法の原案が作られた46年の2月から3月にかけて、当時の吉田茂外相や松本烝治じょうじ・憲法担当国務相と一緒にGHQとの厳しい交渉に当たった時期ではないだろうか。GHQは、自ら作った「マッカーサー草案」をほとんど日本側に直させないまま、3月7日には「憲法草案要綱」が新聞などで発表された。

 煮え湯を飲まされた格好の白洲は、同日付の手記に「『今に見ていろ』と云フ気持抑ヘ切レス。ヒソカニ涙ス」と書いている。

 白洲は後に、新憲法は「押し付け」られたものであると明言している。「この憲法は占領軍によって強制せられたものである」「歴史上の事実を都合よくごまかしたところで何になる。後年そのごまかしが事実と信じられるような時がくれば、それはほんとに一大事であると同時に重大なる罪悪である」(エッセー集『プリンシプルのない日本』)とも書いている。

 こうした白洲の証言は、「今の憲法は押し付けだ」と強調する“改憲派”知識人たちの議論のよりどころの一つともなってきた。

 ところが、当の憲法の中身について、白洲は内心では評価していたというから、意外である。圭男さんが語る。

 「白洲は、『押し付けられたのは事実だし、素人が作った憲法だが、内容は良い。人の良いアメリカ人が占領軍となって作ったから、ずいぶん助かったんだ』と話していました」

 特に9条を評価していたという。朝鮮戦争を契機に米側から日本の再軍備の要請が強まり、警察予備隊が発足し、やがて自衛隊になっていくわけだが、白洲は再軍備に批判的だったという。憲法の問題点と指摘していたのは、「国の根幹にかかわるものなのに、細かく書かれすぎている。もっとザックリ書けば良かった」という点だった。

 現在の厳しい国際情勢は、9条制定当初からは一変しているし、憲法学者からは「日本国憲法は先進諸国の憲法と比べて条文が大ざっぱすぎる」という指摘はあっても逆は皆無だ。白洲の考えは、今日的に見ると正しいとばかり言いづらい面もあろうが、白洲が一筋なわでは理解できない人物であったことは、確かだ。


疑問3・白洲はGHQと対立したか

 GHQでマッカーサーの腹心だったコートニー・ホイットニー准将に「英語がうまいですね」と褒められた白洲は、こう切り返している。

 “If you study a little harder, you will improve your English.”(あなたももう少し勉強すれば、英語が上達しますよ)

 ホイットニーといえば、マッカーサーに次ぐGHQのナンバー2で、日本統治の要であった民政局の局長。ロースクールで法律を学んで弁護士も経験し、将官にまで上り詰めた人物だ。知識人であり、たたき上げの軍人ではない。だが、ケンブリッジ大学を卒業し、英国の貴族階級から英語を学んでいた白洲は、自らの英語の方が正統であると感じたに違いない。心理的には引け目を感じるどころか、優位に立っていたのだろう。


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板