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近現代史綜合スレ

950名無しさん:2016/11/06(日) 12:47:35
>>949

時代の変化と「ナチカル」の限界

ひとつは、情報環境の変化である。SNSの普及により、どんな情報でもすぐに拡散されて「炎上」し、場合によっては海外にまで波及してしまう。これでは、日本固有の事情は通用しなくなる。

もうひとつは、政治情勢の変化である。現在世界では排外主義が広がっている。日本でも、レイシストの集団がハーケンクロイツを掲げて街頭デモを行ったことがある。こうしたなかで、ナチズムの消費はもはやブラックジョークとしても成り立ちにくくなっている。

実際、2014年に韓国でも同じような騒動があった。「PRITZ」というアイドルグループが、ナチス・ドイツの軍服風のコスチュームを着て、批判されたのである。

よく見れば、「欅坂46」のコスチュームにハーケンクロイツはない。ナチの軍服や制服と似てない点も多々あげられる。今日のように、政治情勢が険しくなく、SNSのようなツールもなければ、ここまで問題化していなかったかもしれない。

それに加え、「欅坂46」があまりにメジャーで目立ったグループであること、今回のコスチュームにあまりに必然性がなかったことなども「炎上」の一因だろう。要するに、あれだけの大組織の運営にしては、あまりに不用意だったということに尽きる。

時代が急速に変化するなかで、「ナチカル」もまた曲がり角に来ている。今後の情勢いかんによっては、似たような騒動が起きる可能性も否定できない。

個人的には、ナチス・ドイツの所業について十分な知識が共有され、排外主義の運動など起こらず、ブラックジョークも苦笑とともに放置してもらえるほどに、啓蒙された社会こそ理想だと考える。

だが、趣味とて社会の相関物だ。遺憾ながら、いまの状況下では問題視されるのはやむをえないし、これ以降はより注意深く扱っていかなければならなくなるだろう。

安倍政権批判はさすがに無理筋

今回のコスチューム騒動は、現在までの情報を見る限り、単に「認識不足」の結果であると考えられる。当事者たちに何かの信念があったならば、また議論の余地もあっただろうが、実際はそうではあるまい。

サイモン・ヴィーゼンタール・センターの抗議にあわててすぐに謝罪して幕引きを図った。この対応がすべてを表している。

しかし、今回の騒動を通じて、政権批判にまで持っていく向きもあるようだ。プロデューサーの秋元康は安倍政権と近しい。だから、そのコントロール下にあるアイドルの行動にも、何らかの政治的な意図があるのではないかというわけだ。

また、「欅坂46」の楽曲「サイレントマジョリティー」(2016年4月発売)のPVの一部が「ナチ式敬礼」に見えることなどをあげて、全体主義的な思想を継続的に広めようとしているとの批判も見られる。

たしかにプロデューサーの秋元康は、クールジャパン推進会議の議員や、東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の理事を務めている。安倍政権との関係は決して浅くはない。

そして一般論として、このように政権と近い距離にある文化人が関わる作品は、特に批判的に検証されるべきだ。癒着の可能性があるし、文化芸術を使って政治宣伝を行う可能性もあるからである。

とはいえ、今回の「欅坂46」のコスチュームに政治的な意図があったとは考えにくい。女性アイドルがナチス・ドイツの軍服らしきものを着て踊ったからといって、何の意味があるというのだろう。むしろ、実際にそうなったように、「クールジャパン」政策にとってマイナスの効果しかない。

繰り返すが、政権に近しい文化人に対する批判的な検証は大いにやるべきだ。だが、今回のコスチューム騒動のみをもって政権批判にまで持っていくのは、さすがに無理筋だと思われる。

念のためいえば、「サイレントマジョリティ」PVの「ナチ式敬礼」批判もかなり無理がある。どう見ても、一連の動作の一部分を切り取ったにすぎない。そもそも同曲の歌詞は、同調圧力に対する批判と読み取れる。これを全体主義的な思想の宣伝と捉えるのは、明らかに飛躍である。

無理筋の批判は、かえって批判の矛先を鈍らせる。本当に問題があるものが出てきたときのために、その矛先は大事に磨いておいたほうがよい。


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