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近現代史綜合スレ

655名無しさん:2015/10/03(土) 14:05:27
>>654

歴史を政治の道具として悪用しないために
川島 談話の中の「謝罪を子々孫々まで受け継ぐかどうか」という議論だが、これも国内で議論が進むといいと思う。ドイツなどでは、戦争犯罪を分類している。ヤスパースの議論にもあるが、そもそも戦後生まれは戦争の時に生きていないわけだから、戦時下の事象に対して刑事的な罪があるはずはないという。でも戦後に生きているわれわれは、ある種の和解に対しては責任があるとか、罪を弁別して考えている。

日本では、そういう議論はあまりない。東アジアの国々も「日本民族全体、そして戦前も現在も同じ民族」として責任を追及する面がある。しかし世代が進むにつれ、べつにドイツに全て学ぶ必要はないが、日本や東アジアでも「何がそもそも悪いのか」、「何に対して責任があるのか」ということについての議論がもう少し哲学的に進むと、日本でも中国でも受け入れられるものができるのではないか。

そういう意味で今回の談話は、若干ドイツを参考したかなという思う箇所があり、興味深い。「日本の和解に協力してくれた個人や国家に感謝する」というのは、メルケル・ドイツ首相の言葉に近い。そういうところが入ったのは面白いかなと思う。

細谷 ドイツを参考にしたというのは、おっしゃるとおりだと思う。3月にメルケル首相が来て、あのような演説をしたことが(※3)大きかったと思う。メルケル首相が非常に強調したのは、フランスなどの周辺国が和解の精神で手を差し伸べてくれたということ。あれは明確に、ギリシャをはじめとして歴史を修正しようとする国に対するけん制だと思う。

つまりはヨーロッパの中でも誠実にドイツと和解を求める国と、今のギリシャのように現在の問題を解決するために歴史を利用、あるいは悪用し、歴史をゆがめてドイツに対して優位に立とうとする国に分かれている。その中で、相当強い言葉でメルケル首相はギリシャをけん制したと思う。

ドイツや日本が真摯に歴史に向き合うということは必要だが、「現代の政治問題を解決するために歴史を道具として悪用するということは避けるべきだ」ということの理解というものも、これからの国際社会に必要ではないか。

nippon.com別館

(※1)「戦後70年談話」の作成に向け、安倍首相が設置した私的諮問機関。正式名称は「20世紀を振り返り21世紀の世界秩序と日本の役割を構想するための有識者懇談会」。
2015年2月から6月に6回の会合を行い、8月6日に報告書を提出した。

(※2)中国の江沢民主席は訪日中、日本の歴史教育を批判する発言を行い、天皇と小渕恵三首相に過去の歴史に基づいた謝罪を要求した。

(※3)メルケル首相は訪日中の講演で、隣国フランスの寛容さが独仏の和解を進め、欧州統合という平和の土台を築くことができたと強調。東アジアの歴史認識をめぐる問題に直接は触れなかったが、和解に向けて双方が“謝罪と寛容”を示す努力が必要であると示唆した。

白石 隆(SHIRAISHI Takashi)nippon.com編集主幹。政策研究大学院大学学長、ジェトロ・アジア経済研究所所長。専門は国際関係論、東南アジア政治。1950年愛媛県生まれ。東京大学大学院国際関係論修士課程、米コーネル大大学院博士課程修了。21世紀構想懇談会(※1)で委員を務めた。

川島 真(KAWASHIMA Shin)nippon.com編集長。東京大学総合文化研究科教授。専門はアジア政治外交史、中国外交史。1968年東京都生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程単位取得退学後、博士(文学)。北海道大学法学部助教授などを経て現職。21世紀構想懇談会委員。

細谷 雄一(HOSOYA Yuichi)nippon.com編集委員。慶應義塾大学法学部教授。専門は国際政治史、イギリス外交史。1971年千葉県生まれ。慶大大学院政治学専攻博士課程修了。北海道大学法学部専任講師、慶大法学部助教授などを経て、2011年から現職。21世紀構想懇談会では第4回会合で、「米国、豪州、欧州との和解の70年」に関連する発表を行った。


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