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近現代史綜合スレ
642
:
名無しさん
:2015/09/20(日) 11:00:56
>>641
■A級戦犯の分祀は実現するのか?
国内の靖国問題で問われている本質とは、国家の命令で戦い亡くなった人をどうするのかということだ。兵士の犠牲のもとに今の社会があることを忘れると、戦争は誰かがやってくれるから怖くないという風潮が広がり、戦争へのハードルを下げてしまう。その意味で、宗教右派、右派、中間層、リベラルまで、兵士の慰霊を行うことに関して異論はないはずだ。
ただ、そのやり方については、各立場で考え方の違いがある。ここは意見が分かれるところだが、私はA級戦犯を分祀して、天皇陛下が御参拝できる環境を整えることが、どの立場の国民も納得する落としどころではないかと考えている。A級戦犯の合祀が発覚して以降、天皇陛下の御参拝は途絶えている。御参拝が再開されることは宗教右派も歓迎する。もちろん、何らかの形での靖国神社の国家管理が前提だ。
しかし、実現は容易ではない。というのも、靖国神社は民間の宗教法人であり、国が介入できないという建前があるからだ。仮に政府が分祀を望んでも、宮司が首を縦に振らなければ動かない。兵士の慰霊は国として取り組むべき重要な仕事なのに、一民間人が外交関係にまで影響しうる問題のキャスティングボートを握っている。そこに靖国の問題の根深さがあるのだ。
■靖国神社と首相参拝の歴史
【1869年】東京招魂社として創建。戊辰戦争の官軍戦死者を祀る。
【1879年】靖国神社に改称され、別格官幣社となる。
【1946年】改正宗教法人令で、民間の宗教法人に。
【1975年8月】三木総理が私的参拝。公私の区別が論点に。→参拝の「基準」がつくられた
【1975年11月】昭和天皇、戦後8回目かつ最後の靖国神社御参拝。
【1978年】松平永芳宮司が独断でA級戦犯を合祀。
【1985年】中曽根総理が公式参拝。中国が非難声明を発表。
【1987年】胡耀邦失脚。中国保守派の勢力が拡大。
【2001年】小泉総理が参拝。以来、毎年参拝。
【2005年】中国で反日デモ。日本側の対中感情も悪化。
【2013年】安倍総理が小泉総理以来7年ぶりの参拝。
▼靖国神社に合祀されているA級戦犯14名
[絞首刑]
東条英機(首相)/板垣征四郎(陸軍大将)/土肥原賢二(陸軍大将)/松井石根(陸軍大将)/木村兵太郎(陸軍大将)/武藤章(陸軍中将)/広田弘毅(首相)
[終身刑]
白鳥敏夫(駐イタリア大使)/平沼騏一郎(首相)/小磯国昭(陸軍大将)/梅津美治郎(陸軍大将)
[禁固20年]
東郷茂徳(外相)
[判決前に病死]
永野修身(海軍大将)/松岡洋右(外相)
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日本学術振興会特別研究員・青山学院大学兼任講師 三浦瑠麗(みうら・るり)
国際政治学者。2010年東京大学大学院法学政治学研究科修了(法学博士)。11年東京大学政策ビジョン研究センター特任研究員。13年より現職。著書に『シビリアンの戦争』ほか。
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日本学術振興会特別研究員・青山学院大学兼任講師 三浦瑠麗 構成=村上 敬 撮影=宇佐美雅浩
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