したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | メール | |

近現代史綜合スレ

395名無しさん:2010/05/26(水) 13:51:43
>>394
8 教訓
(1)勤務評定
 ジョンは、1967年ソ連大使館に暗号規約を持ち込む以前はまじめであったと評価されているが、スパイ行為を始めた時期は全く勤務意欲をなくしていたという評価がなされている。これは、デッド・ドロップする時の緊張感と、実施後バレるかも知れないという、不安感が常につきまとっていたものと考えられる。
 上司が部下の勤務態度に異常を感じたら話し合う機会を持つ等、一歩踏み込んだ監督指導が必要である。
(2)生活態度
 ジョンはスパイ行為に慣れてくると金遣いが荒くなり、ノーフォーク郊外に豪邸を建て、若い女性を連れて週末は遊び回っていたが、上司は異常な生活態度に全く気付かず、また同僚はうすうす気付いていたが、上司に報告することもなかった。
 ジェリーについては、秘密の電報を許可なく複写したり、個人更衣ロッカーの中で秘密の書類を見たり、秘密の資料を家に持ち帰ったのを同僚が目撃していた。
 「何かおかしい」と思いつつ報告を怠ることは、問題が生じた後で後悔する原因となる。積極的に報告をさせる手段としての「仕組み」が必要である。
 米国では、1995年「大統領令:秘密情報に対するアクセス」が制定され、政府職員に対しセキュリティ上の問題点についての報告義務を求めている。
(3)秘密情報の持ち出し
 KGBは、秘密文書は複写によることなくMinoxカメラでの撮影を指示しているが、フィルムはかさばらないので艦艇からの外出時あるいは隊から帰宅する時に、とがめられる可能性は少なく、また、いざという時に処分しやすい利点がある。
 今日ではデジタル・カメラや携帯電話で接写ができ、直ちに送信できる機能もあるので、情報を扱う職場にこれらを持ち込ませてはならないし、会社の入出時にも持ち物の検査を実施すべきである。
(4)資格審査
 空母ニミッツでの幕僚庶務室勤務では、SECRETクリアランスが必要であったが、マイケルのチェックはなされなかった。後にFBIと海軍保全担当局によって、ニミッツの保全違反が指摘された。
 マイケルは、不要になった秘密文書を焼却袋に入れて作戦室の奥にある空調室へ行くことを許されており、艦載機の発着艦がない日の夜中に一人で焼却を行っていた。
 また、マイケルは作戦室に備えられている艦内電話帳に、金庫のダイヤル番号が記入されているのを見つけ、誰もいない時に金庫を開けて秘密文書を複写していた。
 秘密の取扱者に資格審査を受けさせること、秘密文書の破棄の手続き等、決められた事項を遵守する必要がある。
(5)被害対策
 1968年1月23日、米情報収集船プエブロ号が北朝鮮沖の公海上で拿捕され、KW-7暗号機が没収された。今日、KW-7暗号機はソ連に渡ったと信じられているが、当時NSA(国家安全保障局)は、KW-7を廃止することなく、機器及び規約に一部変更を加えて対処したのみであった。この変更内容は、ジョンによりソ連に知らされており、米海軍の電報100万通が解読されたとみられている。
 米国がベトナム戦争に敗れた原因の一つとして、暗号が解読された結果、米軍の爆撃効果があがらなかったことが挙げられている。
 情報の漏えいやそのおそれがある場合、被る被害については、最大のものを想定して対処する必要がある。

おわりに
 アメリカ人がスパイになる動機は、金を求めて自ら情報を売りにいくケースが大部分である。一方、日本人のスパイは、就職の依頼、卒業論文に必要な資料の入手等、善良な気持ちで外国人と関係し、プロの工作員にリクルートされてしまうという例が多い。日本人はスパイに対して、免疫力がないと言える。
 したがって、管理責任者が管理者に対して、スパイの脅威、保全手続き・規則及び部下の指導監督法について教育し、現場の実務担当者まで徹底を図り、強固な保全組織を作り上げる必要がある。


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板