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食品産業総合スレッド

1841とはずがたり:2017/02/13(月) 16:31:46

?カルビーが国内で調達する馬鈴薯の約8割が北海道産だ。2016年には北海道を大型台風が襲い、農作物に壊滅的な被害が出た。しかし十勝、上川、網走の契約農家がいなければ、カルビーは今頃、原料調達で四苦八苦していたことだろう。

?ただ、この調達契約が経営の足枷にもなっていた面もあった。麦のように種を蒔けば実る作物と違い、馬鈴薯の栽培には栽培中の土盛りや害虫対策など非常に手間がかかる。なのに、かつては年間の調達(購入)量が契約で決まっていて、農家は豊作になると余剰分の販売に苦労していた。豊作だから相場も安い。これは契約農家にとっては困った課題だった。だから翌年は作付け面積を減らす。すると結果的にカルビーの原材料調達も不安定になってしまっていたのだ。

?そこで収穫分は全量買い取る契約に改めた。買い取る値段も決めておく。農機具のリース料などの負担が大きければカルビーから貸し出す方法も取り入れた。資金があれば、後継者のための計画的な投資や後継者教育にも力を注げる。実際、跡取りの息子をオーストラリアやアメリカの農業大学に留学させている農家もあると聞く。

?契約農家制度とは優れた取り組みだった。しかし手直しが必要でもあったのだ。「全量買い取りとは剛毅なことですね」と皮肉を言われたこともあるが、カルビーにとってのメリットも大きいのだ。工場の稼働率が上がるのである。

?カルビーの営業利益率の低さの一因は、工場の稼働率が低く固定費が高い点にあった。弱みだったと言ってもいい。カルビーは全国に15の工場を持ち、そのほとんどが大消費地の近くにある。スナック菓子は空気を運んでいるようなものなので、運賃を抑えるために必然的に編み出された工場配置だった。

?ところが、どの工場も稼働率が低い。私が経営トップに就任した時の稼働率は約6割。そんなに稼働率が低くては、売り込みに力が入らない。もっともな話だ。現在は平均すると9割を超えた。

?契約農家から買い入れた全量の馬鈴薯は、とにかく工場で商品にする。あとは売るだけである。「なにがなんでも売り尽くせ」と発破をかけた。営業担当は売る基礎力はあるから、そこそこに売ってくる。だからカルビーは増収を続けている。

?こう考えたのだ。従前のカルビーは「3次元方程式」だった。つまり購入と生産と販売のバランスに苦労していた。こんな3次元方程式を調和させることなど私にはできない。だから「1次元方程式にする。数学から算数に改めるのだ」と宣言した。

?馬鈴薯は全量を買う。まずこれで終わり。買ってきたものは、とにかく商品にする。これで終わり。そしてとにかく売る。これもここで終わり。営業担当者には、「時には売りにくい商品がある。その際には値下げしてでも商品を売り切れ」、商品開発の担当者には「調達した馬鈴薯を使い尽くすぐらいの新商品を考えろ」と言い続けてきた。

?それは考えてみれば誰にでも分かる理屈だ。スーパーやコンビニの棚に1個100円で置いてあって1個も売れないでいるのと、80円にして10個売るのではどちらが商売になるか。お店は商品が動くから置いてくれるのであり、こちらが動かせれば置いてもらえるのだ。とにかく動かすための工夫を考える。それだけでいい。理屈が簡単ならば誰もが実行できる。

?当時は競合会社に比べ末端価格が随分高かった。デフレの時代にそれではいくら商品が他社に比べて良くても買ってもらえなくなっていた。製造コストを下げ、その下がった分は顧客に還元した。すると顧客はカルビーに戻ってきた。シェアが上がると生産での固定費が圧倒的に下がった。

航空機のコックピットでなくクルマのダッシュボード

?会社にある仕組みでよいものはよりよくし、ダメなものは使い方を止める。後者の代表例がITを活用したデータマネジメントの伝統だった。


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