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食品産業総合スレッド

1674とはずがたり:2016/02/07(日) 17:26:16

【桜井】実はそれ以前から杜氏との関係はよくありませんでした。私が酒造りにいちいち口を挟むからです。

【弘兼】酒蔵の主人といえば、いわば「旦那さん」。酒造りは杜氏に任せて鷹揚に構えた人が多いですね。

【桜井】私は「こんな酒造りはおかしい」と思っていました。酒蔵こそが、酒造りのすべてに責任を持つべきです。だから、現場にも顔を出して、細かく指示していました。

【弘兼】杜氏からすれば、自分たちの仕事に口を出す嫌な奴ですね。

【桜井】ええ。経営危機のときに、自問自答を重ねました。「私はなにをやりたいのか」。答えは明らかでした。「いい酒を造りたい」。これからは杜氏に遠慮せず、思う通りにやってみよう。そこで社員と相談して酒造りに挑むことにしました。

【弘兼】杜氏がいなくても、酒は造れるんですか。

【桜井】日本酒の造り方はシンプルです。私たちは教科書に書かれている通りに純米吟醸酒を造ってみました。そうすると、おもしろいことに明らかに味がよくなった。特に製造量の多い手頃な品種で違いがでました。

【弘兼】職人の経験や勘よりも、基本に忠実なほうがいい酒になった。

【桜井】このときから、徹底した数値管理に基づく酒造りが始まりました。

(1)東京・京橋にある「獺祭バー23」では、直販も行っており、蔵元からの入荷日には行列ができる。(2)陳列されたものはすぐに売れてしまった。(3)店内の様子。(4)最高級品「磨き その先へ」は1本3万円(税別)。

「幻の酒」のままでは顧客は離れてしまう
「杜氏のいない酒造り」を支えるのは徹底した数値管理だ。酒米の外側の50%以上を磨いて造ったものを「大吟醸」と呼ぶが、獺祭の場合、最大の売れ筋である「磨き2割3分」では、77%も磨いた芯の部分だけを使う。精米には7日間、計168時間をかける。また磨いた米に水を吸わせる「洗米」では、米の質や気候に応じて、秒単位で吸水時間を変える。1袋15キログラムずつに分けて、手作業で時間を管理している。吸水が終わった米は蒸され、約1カ月の発酵を経て、酒となる。発酵場所は空調完備の「工場」だ。このため1年を通じて酒造りができる。
【弘兼】現在、獺祭は20カ国で販売されています。特にニューヨークとパリで人気だと聞きました。どのように海外に進出したのですか。

【桜井】販売業者には最初にこう伝えました。「我々は獺祭を売る覚悟がある。売れるまで引き下がらない。できるかぎり努力する。だが、それでも売れなかった場合は、取引する相手を代える。売れなくてもずるずると付き合うことはない」。

【弘兼】品質への自信があるからできる方法ですね。これでは相手は必死にやらざるをえない。桜井さんは非常に交渉力がありますね。

【桜井】これしか知らないだけなんです。安くすれば売れる、というのは嘘です。もう二度とやりません。

【弘兼】2015年には地上12階建ての「本蔵」が完成、生産能力は年間9000キロリットルと約3倍になりました。すこし意地の悪い質問になりますが、獺祭は手に入らない酒だから価値がある、という見方もあります。量が増えると、価値が下がる恐れはありませんか。

【桜井】日本酒業界は希少性にとらわれすぎだと思います。「幻の酒」という言葉がありますよね。しかし、3回に1度ぐらいは手に入らないと、本当の幻になってしまう。供給が続かなければ、ブランドは維持できません。「いい酒」は希少だから価値があるのではなく、おいしいから価値があるのだと思います。

【弘兼】寿司やラーメンだけでなく、「和食」が世界無形文化遺産になるなど、日本の食文化全体への関心が高くなっています。そのなかでも日本酒は海外で花開く可能性が高い。


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