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食品産業総合スレッド
1282
:
荷主研究者
:2013/10/27(日) 14:04:58
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/131019/biz13101918010007-n1.htm
2013.10.19 18:00 産経新聞[開発ヒストリー]
食パンの概念を変えた!「セブンゴールド 金の食パン」
セブン−イレブンで棚の最上段に陳列される「セブンゴールド 金の食パン」。大手製パンの主力商品を大きく上回る売れ行きだ
「食パンの概念を変えた」、「流通の常識を変えた」。その猛烈な売れ行きで製パン、流通業界を驚かせているのが、セブン&アイホールディングス(HD)が4月に発売した「セブンゴールド 金の食パン」だ。一斤250円と同100円強の製パン大手の普及品に比べて約2倍の価格ながら、セブン&アイの店舗ではそれらをはるかに上回る販売量を誇る。
「自信はあったが、これほど売れるとは…」
開発を担当したセブン−イレブン・ジャパン商品本部FF・デイリー部の中村功二チーフマーチャンダイザーがそう口元を緩めるほど、金の食パンの売れ行きは好調だ。主戦場のコンビニエンスストア「セブン−イレブン」では大手メーカーの売れ筋首位の主力商品の2倍以上と、圧倒的な強さ。イトーヨーカ堂などグループの各スーパーでも、従来の売れ筋商品の販売金額、数量をともに上回る。
劣勢にたたされた大手メーカーの一部が、価格帯などが似た対抗商品を発売。従来、流通業者のプライベートブランド(自主企画商品、PB)は、「ナショナルブランド」と呼ばれる大手メーカーの商品を後追いするのが一般的だが、金の食パンではその逆となった。「これまでには考えられなかった動きだ」(大手流通関係者)。
開発に着手したのは平成24年9月。直接のきっかけは、「セブン−イレブンの食パンはもっとおいしくできるはずだ」というセブン&アイHDの鈴木敏文会長の厳しいひと言だった。販売が伸びない食パンについて、それまで1年以上問題意識を持っていたという。
食パンは長く100円前後の“安売り”市場が主流で、セブン−イレブンも同様の価格帯で食パンのPB商品を販売していた。だが、「求められているはずなのに数字は悪かった」(中村氏)。
一方、興味深かったのは、一斤400〜500円もする専門店の食パンが、何カ月待ちという人気になっているという事実だった。統計でも安売り品の需要は下落傾向なのに対し、高価格商品の需要は増加傾向なのがわかった。「ビジネスチャンスは価格よりも価値の追求にある」(同)。鈴木会長の指摘の正しさはマーケティングでも裏付けられた。
開発の方向性は固まった。ただ、実際に形にするまでは苦難の連続だった。まずは目標の品質を定めるが、人気の専門店の食パンはさまざま。食べ比べる中で、うまさは“甘み”という結論にたどりつく。それも砂糖の甘みではなく、次々と食べたくなる素材そのものがもつ甘みをいかに引き出すかが重要と判断。「上質な小麦粉とパン生地の熟成にこだわることにした」(中村氏)。
大手を含む製粉3社、製パン4社から提案をもらい、小麦粉の調達では昭和産業の協力を得た。「いつか使いたいと思っていた小麦粉を思い出した」という同社の責任者が提案したのは、カナダ産の小麦粉。国産小麦などと比べ、パンにするとしっとりとして甘みが強い。産地が限られ収量も少なく、小麦粉にしては高価だが、セブン&アイHD傘下のコンビニやスーパーで大量に販売できるメリットを生かし、調達コストを抑えた。
最も大変だったのは生産工程だ。量販する食パンは通常は粉をこねるところから袋詰めまで全自動で熟成時間も短く、しっとり感を出すのに必要な水分が少ない。また、専門店レベルの弾力のある食感を実現するには、どうしても手でこねて生地に気泡を含ませることが必要だ。
この難題に答えたのが中堅製パンの武蔵野フーズ(埼玉県朝霞市)。「いつかはこういう要請が来ると思っていた」と意気に感じた同社取締役の山下勝治氏は、通常の3倍となる約12時間の熟成時間も確保したうえで、パン生地を手でこねて金型に入れるなど生産ラインに手作業の工程を加えた。「何百回も試作を重ね、ようやく生産性を高め、安定した品質を得られるようにした」(山下氏)。
セブン&アイグループ内には250円というパンが売れるか疑問の声もあったが、今年2月、消費者に1斤350円のパンと食べ比べてもらうテストをしたところ、「7割が新開発した食パンの方を選んだ」(中村氏)。テスト結果を受け販売部門やコンビニ、スーパー各店も協力。スタートから爆発的なヒットにつながった。
「価格が高いだけではだめ。この品質をこの価格で実現したことが受け入れられた」と中村氏。10月中には、やはり手作業の工程を加えたPBのロールパン「セブンゴールド キンのロール プレーン」(1個90円)も発売する。今後も市場に新鮮な驚きを与え続けたい考えだ。(池誠二郎)
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