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農業総合スレ

2309とはずがたり:2018/07/20(金) 13:18:15
>>2308

 TPPで関税を廃止したら日本に安い輸入魚が押し寄せて、国内漁業が大打撃を受けることを危惧する声もあるようだが杞憂である。もともと漁業が輸出産業であったために、水産物の関税は7%程度と低く抑えられている。世界的な水産物の価格上昇を考えれば、関税がなくなったところで焼け石に水であり、輸入の減少は今後も続くだろう。

 国産・輸入共に供給が減少した結果、日本でも水産物の価格は上昇し、高嶺の花になりつつある。2010年に肉と魚の単価が逆転し、現在は魚の方が高い状態が維持されている。日本人一人当たりの水産物消費量(kg/年)は2001年の69.2kg/年をピークに2014年には49.4kg/年に減少している。わずか13年の間に3割も減少したのだ。

中国政府は、沿岸の漁獲規制を強化する方針
 右肩下がりの日本漁業に追い打ちをかけているのが、コストの低い中国・台湾漁船の進出である。1980年代から、経済発展によってコストが高くなった日本漁船は、海外漁場から次々に撤退した。そこに進出してきたのが、中国、台湾、韓国などの国々である。今ではこれらの国の漁船が日本の排他的経済水域(EEZ)のすぐ外まで押し寄せている。戦後しばらく日本は外国の漁場に一方的に攻めていく立場であったが、現在は外国漁船から自国の漁場を攻められる立場に変わったのである。

 中国政府は、沿岸の水産資源が減少したことから、漁獲規制を強化する方針を示している。中国沿岸での規制が強化されると、あぶれた漁船が日本周辺海域に大挙してくる可能性がある。まさに内憂外患という状況である。

 魚がいなくなれば漁業という産業は成り立たない。日本のEEZ内で完結する資源については、国内の漁獲規制をすることで、水産資源を回復させる必要がある。サバやサンマのように、日本のEEZで完結しない資源については、他の利用国と連携して、国際的な漁獲規制の枠組みを構築すべきである。

 日本では漁獲規制というと、「魚が食べられなくなる」とか「魚が高くなる」といった、ネガティブなイメージがあるが、そうではない。ホッケやクロマグロの漁獲量が減少して、魚価が高騰しているのは、厳しすぎる規制が原因ではない。漁獲規制がないまま、獲り尽くしてしまったからである。漁業が利益を生み、我々が魚を食べ続けるためには、適切な規制が必要なのだ。

出典: 文藝春秋オピニオン 2017年の論点10

(勝川 俊雄)


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