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農業総合スレ

1776とはずがたり:2015/12/12(土) 14:53:29
>>1775-1776
メーカーは人気商品に注力

バターなど乳製品をつくるメーカー側の事情もあります。大手乳業メーカーのなかには、ヨーグルトやチーズなど消費者に人気のある商品の開発に力を入れているところもあります。味わいの深いチーズや、おなかの調子を整えるといった、消費者の健康志向の高まりに応えるヨーグルトなどは価格が高めでも売れるため、メーカーにとっては収益力向上につながります。生乳の調達が限られているとすれば、収益性の高いほうに力を入れる。民間企業としては当然の論理です。こうした状況のもとではメーカー側からバターの生産を是が非でも増やそうという意識は働きにくくなる状況が生まれがちです。

酪農家を束ねる生産者団体の存在

バターが“品薄”になる最大の理由は生乳生産量の減少であることは前述しましたが、取材を進めると生乳を巡る集荷・販売の仕組みにも課題があることが浮かび上がってきました。
 酪農家は生乳を乳業メーカーに販売することで収入を得ますが、実は牛乳用、バター用など酪農家がみずから用途を決めて自由に販売することが難しい仕組みになっています。

http://tohazugatali.we b.fc2.com/nogyo/1125_06_cg02.jpg

全国に10ある生産者団体「指定生乳生産者団体」が多くの酪農家から生乳の販売委託を受けて乳業メーカーと価格交渉を行うのです。
 この制度は昭和41年に「加工原料乳生産者補給金等暫定措置法」にもとづいてスタートしました。当時は酪農家の経営規模が小さかったこと、生乳は保存がきかないため短時間のうちに乳業メーカーに買い取ってもらわなければならず、酪農家が価格交渉上不利な立場に置かれがちでした。このため、酪農家が団結することで乳業メーカーと対等に交渉できるようにしたのです。また、生産者団体が生乳をまとめて集荷・輸送することで輸送コストを削減したり、一時的に生産量が増えすぎて生乳が余りそうな場合でも、販売先を調整してさばくことができ、酪農家の経営安定に貢献しています。
 ただ、この制度のもとでは酪農家が生乳をどの用途向けに売るのか、決めることはできず、団体に任せっきりになってしまいます。

酪農家の思いは

酪農家は生産者団体の制度をどうとらえているのでしょうか。北海道で3軒の酪農家を取材すると生産者団体の価格交渉力に不満をもつ酪農家もいました。
団体が生乳の価格をもっと高値にするよう交渉してくれれば、生産量を増やして、バターの“品薄”の解消にもっと貢献できるのにと残念がっています。
さらに生産者団体の枠組みに見切りをつけた酪農家もいます。つくった生乳を生産者団体ではなく、群馬県の卸売り会社に買い取ってもらい、用途は牛乳に特化しています。継続して販売できるかどうか、不安はありますが、今のところは何に使われるのか分かってやりがいにもつながるうえに、買い取り価格も10%程度高くなったといいます。
 一方、この制度のもとで高価格帯の牛乳を売ることに成功している酪農家もいます。特別な生乳に限り高値で取り引きできる仕組みを使うことで、えさを工夫し、大都市圏向けの牛乳を販売。団体を通じて生乳を確実に販売できるという安心感を持ちながら、差別化で収益アップを実現しています。

バターをきっかけに酪農を考える

 バターを巡る問題は、それぞれの当事者のそれぞれの事情が複雑に絡み合い、解決が難しくなっています。およそ半世紀前につくられた制度では、歴史的に日本の酪農を強くしてきましたが、経営の自由度が発揮しにくいという疑問の声も出てきました。酪農家がリスクを引き受けながらも、より柔軟に販売先を選べることで増産への意欲を回復できれば、店頭で“バター品薄”が起きて、その弊害を消費者が被ることも避けられるはずです。
すぐに状況を改善する秘策はないと思いますが、消費者は、バターなどの身近な乳製品がどのような仕組みのもとで食卓に届けられているのかをまず知り、酪農家は経営マインドをもって自分たちの製品に新たな付加価値をつくりだし、国はそのために必要な新しい支援策を考える、そういう転換期にきているように思います。


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