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農業総合スレ

1732とはずがたり:2015/10/08(木) 23:38:39
>>1731-1732
…日本の農産物の国際競争力について懐疑的な見方をする読者も多いだろうが、山下氏はコメを例に現状を語る。

 「品質面を見れば、日本の農産物は世界に冠たるものがある。コメもその1つだ。たとえば香港で売られている各国のコメの値段を比べてみれば、日本のコメの品質に対する評価の高さがわかる。カリフォルニア産コシヒカリが1キログラムあたり240円、中国産コシヒカリが150円で販売されていたとき、日本産コシヒカリは380円で販売されていた(※)」

(※)出所:(株)マルタ調べ

 同じコシヒカリでも、香港では日本産が中国産の2.5倍の値段で売れる。つまり、品質面での国際競争力は十分に示されているといえよう。

コメの内外価格差が消滅した!

 問題は価格競争力だが、これも改善されているという。「日本はウルグアイラウンドのミニマムアクセス(※)枠を通して海外からコメを輸入してきた。これまで主食用の輸入枠は基本的に100%消化してきたが、2014年にほとんどゼロになった。なぜかというと、コメの内外価格差が消滅したからだ」と山下氏は指摘する(下図参照)。

 コメの内外価格差が消滅したのは、水不足や円安によりカリフォルニア米の価格が高騰したことが大きいが、「この状況はまだ続きそう」と山下氏はみる。さらに、「日本の米価(2015年2月時点で約1万2000円)は減反によって守られた結果だ。減反は、コメの生産量を減少させることに対して補助金を出し、その結果として米価を高く維持するための政策である。減反をやめれば生産量が増えて価格は下がる。今の状況で計算すると、1俵(60キログラム)あたり7500円が需給均衡価格になるだろう」と指摘する。

 減反廃止となり、もし山下氏の計算どおり国内米価が7500円になるとしたら、何が起こるか。

 コメ農家にとって米価の下落は大問題だが、山下氏は次のような見通しを語る。「海外で日本のコメが高く売れることはわかっている。仮に商社が1俵7500円でコメを買い付け、海外で例えば1万2000円で売れば確実に儲かる。そうすると輸出が増えて国内流通量が減るから米価が次第に上昇し、輸出価格の水準に近づいていく。ただし、一時的に米価が下がるので、米価が上昇するまでの間だけ農家に対する支援策を検討する必要があるだろう」

 では、コメの輸出量はどの程度の規模になるのか。「今、コメの生産量は年間800万トンくらいだが、1993年に大冷害が起こってコメ不足が深刻化した翌年、一時的に減反を解除したら生産量は1200万トンまで増えた。コメ以外の作物に転作していた農家側の対応が十分でなかったにもかかわらず、である。現在でも同程度の生産能力はあると考えていて、800万トンを超えた部分は輸出に回せる」と山下氏は見積もる。妥当な輸出価格でコメの生産量が増えるならば、農家の所得も増える計算だ。


山下一仁(やました かずひと)氏
キヤノングローバル戦略研究所 研究主幹、経済産業研究所 上席研究員
 1955年岡山県生まれ。1977年東京大学法学部卒業、農林省(現農林水産省)入省。農林水産省ガット室長、(在ベルギー)EU日本政府代表部参事官、農林水産省地域振興課長、食糧庁総務課長、農村振興局次長などを歴任。1982年ミシガン大学行政学修士、同大学応用経済学修士。2002年OECD農業委員会副議長。2005年東京大学農学博士号取得。2008年農林水産省退官。専門は食料・農業政策、地域振興政策、農業と貿易交渉、食品の安全と貿易など。『日本農業は世界に勝てる』『農協解体』『日本の農業を破壊したのは誰か』など著書多数。


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