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農業総合スレ

1025とはずがたり:2010/02/04(木) 18:24:43
>>1024-1025
農業保護の指標としてOECD(経済開発協力機構)が開発したPSE(生産者支持推定量)は、関税による消費者負担(内外価格差×生産量)に、納税者負担による農家への補助・支払いを加えたものである。02年のPSEは、アメリカ396億ドル、EU1005億ドル、日本439億ドル(約5.5兆円)となっている。人口規模からすると日本の数字はEUと比べて過大ではない。しかし、その内訳をみると、消費者負担の部分の割合は86〜88年のアメリカ46%、EU85%、日本90%に比べ、02年ではアメリカ39%、EU57%、日本90%(約5兆円)となっている。EUが日本と同程度であった消費者負担型農政を大きく転換しているにもかかわらず、日本の農業保護は依然として消費者負担の割合が極めて高いのだ。

また、農業保護が特定の産品に偏ると経済的により大きな非効率を生む。OECDの指数によると、OECD平均75、EU59、アメリカ29に対し、日本は118であり、他の国に比べて、特定の品目、とりわけコメに偏っていることを示している。

日本のコメが輸出される日

日本も農政を転換すべきだ。世界貿易機構(WTO)協定は国内の補助金を削減しなくてもよい緑の政策と削減すべき黄の政策に区分しているが、価格支持でないこと、納税者負担によることが緑の政策の基本要件である。消費者負担型の価格支持政策は誰が負担しているか不明確であり、貧しい消費者も負担し、裕福な土地持ち兼業農家も受益する不公平なものだ。納税者負担型の政策は負担と受益の関係を国民に明らかにし、真に政策支援が必要な農業や農業者に受益の対象を限定できるとともに、消費への歪みをなくし経済厚生水準を高める。

具体的には、EUのように農産物の価格を下げ、直接支払いを導入すればよい。まず、コメについて生産調整を段階的に廃止することにより、米価を需給均衡価格まで下げる。国際価格を視野に入れ、さらに価格低下を後押しするため、一定規模以上の農家に限定して農地面積に応じた直接支払いを交付し、地代支払い能力を補強すれば、価格低下により農地を手放す零細兼業農家から一定規模以上の農家へ農地は集積する。

この直接支払いは、地代コスト軽減という直接的なコストダウン効果と、農地の集積による規模拡大・生産性向上を通じた間接的なコストダウン効果を発揮する。この間接的効果で、農作物価格を国際価格まで一気に引き下げた場合より、財政負担は大幅に軽減できる。水田、畑の上に何を作付けても直接支払い額は同じなので、米作偏重という政策の歪みも排除できる。

一定の前提で所要額を概算したところ、関税ゼロという極端な場合でも現在の農業予算2兆円の範囲内で処理できる。こうすれば消費者が負担してきた消費税の2%にも相当する5兆円は消滅し、国民負担を大幅に軽減できる。農業保護水準はアメリカの半額の2兆円にまで低下する。世界最大の農産物輸入国でありながら、最も農業を保護している国との国際的な批判も返上できる。

生産調整を廃止し、収量を増大させるとともに、直接支払いにより農家らしい農家に農地を集積し規模を拡大させれば、コストダウンで価格は下がり、農政の財政負担は消費者の利益に転化していく。生産調整廃止によりコメの生産は増加し、米価低下によりコメと他作物の相対収益性が是正され、他の作物の生産も拡大すれば、先進国中最低となっている食料自給率も向上する。

一般の理解と異なり、農業に専念できる規模の大きい農家ほど、環境にやさしい農業を推進していることから、農薬・化学肥料の投入量も減る。全体的な価格水準が低下すれば、コメが輸出産品となることも可能だ。現に価格水準の似ている台湾には高品質の日本のコメが輸出されている。
『週刊エコノミスト』2004年3月23日号(毎日新聞社)に掲載


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