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環境問題

1002とはずがたり:2017/06/04(日) 13:35:00
論点
米「パリ協定離脱」
https://mainichi.jp/articles/20170603/ddm/004/070/011000c
毎日新聞2017年6月3日 東京朝刊

 地球温暖化に歯止めをかけるための国際ルール「パリ協定」は骨抜きになってしまうのか--。トランプ米大統領が1日、国内外の反対を押し切り、選挙公約通り協定離脱を表明した。国際協調路線に背を向け、「自国第一主義」街道を突っ走る米政権。現実となった米国の「退場宣言」をどう受け止めたらいいのだろうか。

「脱炭素」の潮流は揺るがず 田村堅太郎・地球環境戦略研究機関上席研究員
 トランプ米大統領のパリ協定離脱表明の演説には事実に基づかない説明や、根拠の弱い現状認識が多く見受けられた。

 まず、最大の離脱理由に挙げた国内雇用についてトランプ氏は状況を正確に把握していない。確かに、米国が示した「温室効果ガスを2025年までに05年比26〜28%削減する」との目標に沿って削減を進めれば、石炭関連産業の労働者は一定数、職を失うだろう。だが、その代わり、再生可能エネルギー関連産業で雇用が生まれる。実際に、現時点で太陽光発電産業だけでも石炭関連産業の雇用規模を上回っている。トランプ氏は米国が協定に残留した場合、「25年までに270万人の雇用が失われる」と説明したが、新たな雇用や投資を勘案しない試算だろう。

 また、途上国の温暖化対策を支援する国連の「緑の気候基金」(GCF)に「先進国が毎年1000億ドル(約11兆円)も拠出しなければならず、今後、米国にとって受け入れがたい負担増になる」と訴えた。だが、1000億ドルは民間資金を含めた金額だ。あたかも政府資金だけでまかなうかのような誤解を与える表現だ。

 そもそもパリ協定では削減目標の設定も、GCFの拠出金額も、基本的にその国の裁量に任されている。その上、親条約の国連気候変動枠組み条約から抜けない限り、米国は4年間は協定にとどまり、離脱表明の実質的な効果は当面ない。それでも宣言したのは、大統領就任後、公約通りの成果を上げられない中、支持者引き留めを図る狙いとみるのが自然だろう。

 京都議定書は先進国のみに削減義務を課していたが、パリ協定は途上国も含む全ての国と地域が参加する国際的枠組みとして画期的な成果だった。離脱表明はあまりにも無責任だが、これでパリ協定が空洞化することはない。欧州連合(EU)と中国が共同声明を発したように協定を堅持しようという国際的な政治結束は固い上、産業界は既に低炭素社会に向けて動き出しているからだ。

 パリ協定が目標とするように、産業革命後の世界の気温上昇を2度未満にとどめるには、今世紀後半の早い時期に世界全体の排出量を、森林の吸収量などとの差し引きでゼロにしなければいけない。世界の多くのビジネスリーダーはその制約を受け入れ、別の選択肢「プランB」はないと認識して経営戦略を立てている。排出量の多い事業に対する金融機関の目も厳しくなっている。市場を中心としたこの潮流が大きく揺らぐことはない。

 懸念されるのは、日本でこの潮流を見誤った人々の意見が力を持つことだ。環境省は低炭素ビジネスを促す経済的手法として、炭素税や排出量取引といった「カーボンプライシング(炭素の価格付け)」を導入する議論を本格化させている。この実現を妨げようと、米国の離脱表明を受けて「国内産業に新たな制約を課すべきではない」という声が高まる恐れがある。しかし、温暖化を防ぐには脱炭素しか道はない。日本政府はトランプ氏に引っ張られず、長期的な視点でルール作りを進めるべきだ。【聞き手・阿部周一】


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