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2613とはずがたり:2024/09/09(月) 22:11:04


だが仮に渋滞問題が地元の努力で大きく緩和されても、それはマイナス要素が減った程度にすぎない。第3工場の立地先に熊本以外の都市が浮上している根本理由は、別の点にある。それは「人材」の問題である。

TSMCの人材需要を満たすため、地域では産官学での人材育成の機運が高まっている。熊本大学は工学部には「半導体デバイス工学課程」が開設された。こういった取り組み自体は、TSMCと台湾政府から好感されている。特に同様に工場を新たに建設するアメリカ・アリゾナ州で、工場ができる前から労働問題に直面していることと比べると、「日本は官民挙げて協力的だ」と台湾側は受け止めている。

■欲しいのは「量産型人材」ではない

だが残念ながら、第3工場が求めている人材は、こういった量産型のアプローチで育成できる類のものではない。台湾の半導体政策関係者は、こう指摘する。「第3工場が必要とするのは、大学の研究者レベルの人材だ。だから立地は、理系の名門大学が近くにあることが重視される」。

TSMCが第3工場の建設を正式に決定するのは、2027年ごろになる見通し。TSMCとしてはまだ「白紙」というのが投資家やメディアに対する姿勢だ。だが実のところ、「建設するなら先端プロセスラインとする前提」(台湾政府関係者)で、立地を含むフィジビリティスタディが水面下で進められている。具体的には回路線幅3ナノメートル以下のラインとなる見通しだ。

半導体工場では、回路線幅の数値が小さくなるほど先端的であり、技術難度が高くなる。TSMCはすでに台湾で3ナノラインを稼働させ、その先の2ナノも建設中だ。TSMCにとっては日本で3ナノラインを作ることは自社最先端ではないが、それでも熊本の工場が6〜40ナノであることと比べれば技術難度は格段に高くなる。

台湾で先端ラインを立ち上げる際、TSMCの技術的なブレークスルーを助けてきたのが名門大学の教授陣だ。現地経済誌の記者は、「TSMCは自社の研究開発や経営マネジメントにおいて必要に応じて、台湾大学や国立陽明交通大学といった名門大学の教授陣を“借りる”ことがある」と話す。

例えば台湾で3ナノラインを初めて作った際には、台湾大学の教授陣が台南の建設サイトにまで赴き、さまざまな技術的問題の解決策を探った。現在も台湾大学とは、3ナノ以下の製造に必要な新素材や成膜技術に関する研究を共同のリサーチセンターで行っている。特定の大学以外でも、TSMCは具体的に研究課題を挙げたうえで、公募型で産学連携を行っている。

アメリカや日本ではかつて、電機や化学の大手メーカーが中央研究所を持ち、足元のビジネスに必ずしも直結しない先端領域を研究していた。この企業の中央研究所に相当するような「頭脳」の役割を、TSMCは大学の優れた研究者に求めているといえる。

その視点に立てば、日本での次なる工場の立地が「理系の名門大学に近いこと」が条件になるのが理解できる。そして、アジア最大のノーベル賞受賞研究者の輩出国である日本には、自社にとって有用な頭脳が多数ありそうだとも考えている。

■浮上する3つの候補地

こういった事情から今、台湾の半導体政策関係者から漏れ聞こえる「第3工場の候補地」は以下の3つだ。

1つ目は茨城県、特につくば市だ。つくば市には言うまでもなく、筑波大学があるが、それ以上に東京大学、東京工業大学といった首都圏の研究者が足を運びやすい立地として注目されているという。当初、TSMCと台湾政府は横浜に関心を持ったが、横浜には大型の半導体工場を建設する土地が乏しいことがネックとなった。つくばなど茨城であれば、首都圏でも工業用地が比較的潤沢であると見込まれている。

ちなみにTSMCはすでにつくばで、国立研究開発法人・産業技術総合研究所の中に3D半導体の研究センターを構えている。センターでは、半導体基板の大型化や、電力効率が高い新材料の開発などが進められている。

2つ目の候補地は京都府だ。関西の都市でいえば、大阪府が第3工場候補地になりうるという観測が出ている。その観測を招くのは、TSMCが大阪にIP(知的財産)を取り扱う「デザインセンター」を開設(大阪市中央区)していることだ。センター長の安井卓也氏は「近い将来、3ナノプロセス以下の設計技術を手掛ける」と話していると伝えられている。

2614とはずがたり:2024/09/09(月) 22:11:27
>>2612-2614
だが大阪より京都のほうが、研究者のレベルという点では魅力的なのは言うまでもないだろう。京都大学は日本で最も多数のノーベル賞受賞研究者を生み出している大学だ。京セラ(6971)、島津製作所(7701)、村田製作所(6981)といった日本を代表する電子関連メーカーが地元に多いこともあり、京都は産学間の交流が盛んな都市でもある。

もうひとつの候補地は名古屋市である。名古屋大学では、ノーベルの物理学賞を受賞した天野浩教授が、未来エレクトロニクス集積研究センターのトップを務めている。また名古屋はトヨタ自動車の本拠地である豊田市にもほど近い。3ナノ以下の先端半導体は車載ではなく、主にAIサーバーのような高性能コンピューティングに使われるのだが、自動車とエレクトロニクスの融合が急速に進む中、世界最大の自動車メーカーがあることはTSMCにとって魅力ではある。

意外にも名前が挙がっていないのが宮城県だ。仙台の東北大学は、半導体関連の研究力では高い評価を集めている。東北大国際集積エレクトロニクス研究開発センターのセンター長を務める遠藤哲郎教授は、半導体の消費電力を大幅に低減する「スピントロニクス」の研究者として世界的に著名だ。

一方で、やや冗談交じりに言及されているのが北海道。北海道大学への評価というよりも、「ラピダスの経営が仮にうまくいかなかった場合、TSMCが千歳市の工場を引き継げばよいのでは」と半導体政策に関わる台湾の政府高官は言う。現時点ではブラックジョークのようなものだが、実はこの「説」は日本の半導体業界でもひそかにささやかれているものだ。

■ハイテク戦争の実態は頭脳戦争

TSMCの工場は日本だけでなく、アメリカと欧州も同様に巨額補助金を支出して誘致している。各国政府がTSMCの工場を欲しがるのは、米中対立を軸としたハイテク戦争時代において、半導体は必要不可欠な「国家戦略物資」であるという理解があるためだ。TSMCの量産工場を中心とする半導体のサプライチェーンを自国内に持てば、有事の備えになると日米欧の政府は考えている。

一方でこのハイテク戦争をTSMCと台湾政府の目から見れば、恐らく「頭脳戦争」に見えていることだろう。中国との地政学的緊張に揺れる台湾にとって、TSMCは今や「シリコン・シールド」となっているといわれる。世界最大かつ最先端のTSMCの工場がストップすれば、世界経済は甚大な打撃を受ける。TSMCがあることで台湾は中国の軍事行動から守られる、という認識だ。

TSMCがシリコン・シールドであり続け、ひいては台湾という小さな島国が大国のパワーゲームにおける「チョークポイント」(戦略的に極めて重要な地点)であり続けるために、TSMCはこれからも半導体技術の最先端を走り続ける必要があるのだ。これはもちろん、インテル( INTC )とサムスン電子という競合企業をつねに引き離し続けるうえでも意味がある。そのために、サイエンス研究者の頭脳は同社にとって必要不可欠な経営資源であるのだ。

TSMC第3工場の立地については日本側でも、「熊本に引き続き、とはならない」(自民党半導体戦略推進議員連盟に所属する国会議員)という声がある。熊本での絶大な経済効果を目にした以上、他都市にも“配分”せざるをえないという考え方が出てくるわけだ。この政治的動機も交えながら、これから複数の都市が第3工場の誘致にしのぎを削ることになるだろう。

なお、立地を含む第3工場の検討状況について、TSMCの広報担当者からは期日までに回答を得られなかった。

杉本 りうこ/フリージャーナリスト。兵庫県神戸市出身。北海道新聞社記者を経て中国に留学。その後、東洋経済新報社、ダイヤモンド社、NewsPicksを経て2023年12月に独立。

 ※当記事は、証券投資一般に関する情報の提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。

杉本 りうこ

2615とはずがたり:2025/09/02(火) 16:30:58
マイクロソフト「Windows 11高負荷時にSSDを破損する不具合再現できず」と声明。一方Phisonは「Windows側の問題」と調査結果公表
https://news.yahoo.co.jp/articles/2410f9b369d32b932e0c1b6e6c48f02eb6ee2951
8/22(金) 21:52配信


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