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選挙・議員関連情報スレ

4109とはずがたり:2016/11/07(月) 14:54:29

この有権者層が「沈黙を強いられている」と感じる大きな理由の1つは、民主党・共和党とも、過去30年にわたり、国政選挙において白人労働者階級に直接アピールすることに慎重だったからである。

両党とも、トランプ氏のようなあからさまな移民排斥主義や偏見を見せようとしなかった。増加しつつある人種その他のマイノリティ有権者が離反してしまう可能性があるからだ。

また経済政策の面では、トランプ氏のような保護主義を直接支持することも避けていた。政治的には中道派のビジネス・ロビーを警戒させるからである。民主・共和両党とも、衰退過程にある有権者層を惹きつけようとして成長しつつある有権者層にそっぽを向かれるのでは割に合わないと計算していた。

考えてみれば、オバマ大統領は2008年・2012年の大統領選のどちらも50%以上の得票率で勝利したが、大学を出ていない白人有権者に関しては2桁以上の差をつけられていた。2016年の選挙戦が本格的に始まる前、両党の主流派は、白人労働者階級の有権者は、せいぜい広範囲の中道連合を形成しようという試みに対する不安定要因であり、最悪でも、消えゆく不可解な付け足し程度だと考えていた。

トランプ氏が予想に反して候補指名を獲得したことで、白人労働者階級の有権者の存在が改めて広く意識されるようになった。だが、筆者の近著においてこの層について研究したところ、トランプ氏の政策アジェンダ自体が現実にこうした有権者を彼の選挙運動に引きつけているとは言い切れないようだ。

むしろ支持者の多くにとって、トランプ氏は力強い「抗議票」を意味している。白人労働者階級を無視し、排除し、非難してきた、そして多年にわたり意味のある改革を怠ってきた二大政党の政治エリートに対して、中指を立ててやるのだ。

実際には、白人労働者階級の有権者がここ数十年のあいだに見出した最良の「声」が、自家用ジェットで飛び回る富豪で、特定の政党に所属しないマンハッタンの不動産デベロッパーだというのでは、白人労働者階級の境遇を政治的に代表するといっても高が知れているのではないか。

それでも、白人労働者階級の有権者の多くは、トランプ氏が想定外に台頭したことは、彼ら自身が政治的な存在感を取り戻したことの証左であると考えている。

だが、トランプ氏の選挙運動に陰りが見えていることによって、米政界では、トランプ氏のようなポピュリスト的な訴求をすれば、必ずやオバマ大統領の選出に繋がった「新しい米国」連合(独身女性、アフリカ系、ラテン系、アジア系の米国人、勤労女性、若年層、同性愛者)の反発を招いてしまうという認識が強まっている。

政界関係者がトランプ流ポピュリズムを拒絶すると、往々にしてそれは、広く流布している米国の白人労働者階級に関する情緒的なストーリーに収まってしまう。識者の多くは、こうした有権者を、過去に自分たちが得ていた不当な優位にしがみつく抵抗勢力として一括りにしてしまう。進歩的な変化に抵抗し、職場だけでなく私生活においても彼らに挑戦する女性やマイノリティを抑えつける力を維持しようとしているという役柄が押し付けられる。

従来、白人貧困層は、白人男性が職場や私生活における特権を与えられて当然と考えていた時代の最後の生き残りであり、トランプ氏はその最後のあがきであるとみなされてきた。白人労働者階級の人々は、文化的な逸脱者であり、道徳的な根拠が揺らぐなかで彼らの労働倫理も低下してきたとみなされることが多い。

白人エリート層の多くは、優遇された昇進システムのなかで成功を収めてきた人々の子孫だが、恐らく過去の自分自身と距離を置くために、今では白人貧困層を非難するようになっている。

一方、白人労働者階級の側では、過去を懐かしむことしかできない。20世紀半ばは、政治家がこの層の票を集めようとした最後の時期である。安定した高給の正規雇用があり、家族が一体であったのも、この時期が最後だった。


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