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フランス語フランス文化質問箱

368sekko:2011/11/30(水) 23:04:11
フランスと旧植民地
>>例えば、フランスのマスメディアにおいて、アルジェリア、ベトナムなどの旧植民地地域の否定的な側面を報道することはタブーである、報道すると、人種差別、民族差別主義者扱いされる、業務困難になるくらいのメール、FAXでの抗議行動が展開され、一方で肯定的な側面、「友好」「贖罪」を訴える記事はたとえ、事実を誇張してでも、大々的に報道される・・・

えーと、こういうことは一般的にはないです。

日本の場合、近い「植民地」が、人種的に非常に近いこと、もともと大陸文化の中継地として歴史的にも近いこと、第二次大戦の日本の敗戦とともに戦勝国によって手離させられたこと、というのがあります。

それに比べてフランスの方は、たとえばインドシナやアフリカの植民地について言えば、もともと人種的に見た目が違う、歴史的文化的接点が近代以前にはなかった、第二次大戦の時には旧植民地の人もフランス軍として従軍し共に「戦勝国」の側で終った、その後旧植民地諸国が独立戦争などを起こした結果独立したので、ある意味で心理的決着がついている、などとだいぶ状況が違います。(もちろんフランス軍として戦った結果の補償や年金の問題など細かい異議申し立てなどは続きますが)

しかも、その後も経済格差があったり戦争や内乱が続いたことで、フランスは旧植民地国からの難民や移民を大量に受け入れてきました。もちろんフランスの戦後の復興のために彼らの労働力が必要とされたこともあります。

いまだにカリブやインド洋に海外県だの海外領などがあるように、独立を望まずにフランスに留まることを選択した地域もあります。

旧植民地国も、その後の政治経済の中で、旧宗主国のフランスを特別に「スケープゴート」に仕立てあげて国民をまとめるという必要がなかった、そういう戦略をとらなかった、というのもあります。冷戦構造もありましたし。日本が原爆を落とされたり、占領されたりしたアメリカとその後同盟していく道を選択したようなものでしょう。


>>そもそも、植民地支配に関する考え方はどうなっているんでしょう?「文明」を広げ、「発展」を促進したんだから、「いいこと」という見方が支配的なのか?それとも、「過去の過ち」ととらえているんでしょうか?

もちろん、20世紀後半以来の趨勢として帝国主義の過ちとか自己批判はデフォルトになっています。けれども、ここで一つ、日本人にはあまり思いつかない観点があるのです。

それはキリスト教的観点です。

それにもカトリックとプロテスタントで有意の差があったりするのですが、すごく単純化して言ってしまうと、

西洋キリスト教の帝国主義国家は、最初、「新大陸」先住民だのやアフリカ人だの、要するに彼らの目から見て醜く(あるいはもの珍しく)非文化的で野蛮だと思えた人種は、人間ではない、すなわち、魂がない、救済すべき魂がない、と見なしていたわけです。

だから、虐殺や売買が可能でした。

ところが、異文化接触の経験が増え、神学論争なども経て、ある時期から、他の人種もみな「魂の救済に値する人間」だと見なされるようになりました。

すると、奴隷貿易のような人身売買はダメということになりました。

ではどうするかというと、「彼らは人間ではないのではなくてただ下等で非文明的であるだけだから、自分たちが彼らのところに行って彼らを文明化し、魂の救済もしなければならない」と方向を修正したのです。

それはかなり大きな転回点でした。

「みんな人間」というのはなかなかの視点でしたが(日本だって西洋人を見れば赤鬼とか天狗とか、人間と見なさなかった時もあると思います。人間ってどこでもちょっと違っているだけで異種と見なすんですね)、その「人間」に等級をつけたのが惜しいですね。

で、今までの奴隷売買だの先住民虐殺だのという路線を変更して、上から目線の、「救済」「宣教」「教育」「指導」「開発」路線になったんですね。で、奴隷を買う代わりに本国人を「植民」していったわけです。

もちろん実際は労働力の搾取とか資源の搾取とか、一部の権力者の利益誘導などの事態が増えて言ったわけですが、

西洋キリスト教国の「キリスト教頭」には、どこか、キリスト教的建前の必要や理想の思い込みがあって、奴隷制が衰退した後に植民地主義が発展したのは明らかにそういう成り行きがあります。

でも、近代日本が、そういう西洋諸国の後に続いて帝国主義的になっていった時に、日本が掲げていたのは、民族宗教としての国家神道でした。だから、「下等な人間の魂の救済」みたいな普遍的大義はなくて、「いまだ非近代的な国々のインフラを整えて発展させてやろう」という名目と日本の国家神道を押しつけるというのがセットとなっていたのだと思います。

まあ、結果的には、どっちもどっちの独善的覇権主義なのかもしれません。後発の日本は、もし西洋諸国の帝国主義をもう少し深読みしていたら、別の理論武装をしたりもう少しましな戦略をたてられていたかもしれないとは思います。昔のことはもう変えられないけれど、今からでも、地球規模のいろいろな被害や過ちを減らすために歴史を勉強したいものです。

>>思うにネットを見る限り、欧米圏において、ムスリムとかムスリム国家に関して似たような感情を抱く「ネット右翼」が多いような気がしますが、どうでしょうかね?

これは主として、冷戦以降に軍需産業が損しないように新たな危機を作るプロパガンダのせいかもしれません。旧植民地と宗主国との確執とは別のところにあると思います。


 

http://setukotakeshita.com/


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