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フランス語フランス文化質問箱

32Sekko:2006/05/20(土) 23:04:26
apprivoiser
フランス語講座での話を教えてくださる方がいました。それによると、「apprivoiserはもともとは動物について使うことば。主従関係よりお互いの親しみを想定している。そういうわけで夫婦、カツプルでこの言葉をつかう。たとえば男性が女性を完全にapprivoiserしてしまうということもできる。ということは時間の要素が随分はいつていて、時間をかけてしたしくなつてゆくことも含む」ということでした。
 私にはapprivoiser を そんなに「親しみっぽく」骨抜きにするのは、ちょっとまだ違和感があります。夫が妻をapprivoiser と言ったら、やはりシェイクスピアの『じゃじゃ馬馴らし』 = La Megere apprivoisee を思い出します。つまり相手は「じゃじゃ馬という動物」なわけです。対等な見知らぬ個人同士が時間をかけて「絆を創り」親しんでいくんじゃなくて、apprivoiserする方はapprivoiserしてやろうとする相手に対して、「優越感と恐怖を同時に感じている」のです。言い換えると「軽侮の念を持っているがその存在は怖い」という感じです。だからこそ、人間同士でなく人間と動物、男同士でなく、男と女になり、鶏を盗むキツネや、じゃじゃ馬や、野生の猛獣など、管理しないと脅威になるという相手をapprivoiserと言うのが基本だと思うのです。
 だから星の王子さまが「僕の花が僕をapprivoiserしちゃって」と言うのはキツネの定義を真に受けたかわいい間違いなんですよ。
 それで、このapprivoiserがフランスの雑誌などでよく使われるのは、なんと言っても「 apprivoiser la mort 」 という場合なんですが、これこそぴったりです。 人は死を無視して差別し遠ざけようと思ってるんですが、ほんとは怖くて、 その野生の荒々しさを何とか手なづけなくてはと思っているんですね。
 それでいくと、家畜化 domestiquer というのは、怖くない動物、牛とか馬とか鶏とかを働かせたり、つないだり囲ったりしますが、力では征服できないようなのは時間をかけてapprivoiser というのが基本かもしれません。そしたら、やはりキツネは、はじめは、「遊ぼうなんていってきても、所詮は人間の子、僕を対等に見てるわけないや、僕はだまされないもんね」と警戒してて、王子様が「お花にapprivoiserされちゃって」というのを聞いた時、王子様には人間と動物と植物の間の優劣や差別がないのだと知って、本当に友達になりたくなったんだと思います。
 で、私は 「 apprivoiser la mort 」 を含めて、apprivoiser がすきになれません。今調べている奴隷制の歴史で見るとでいくと、黒人を 奴隷化=domestiquer 出来なくなったところから、植民地化=apprivoiser が始まったと思うからです。じゃあ、異質の他者にどうすればいいかというと、やはり、真の意味で creer des liens です。
 「死」も、ごまかして恐怖を緩和したりするのでなく、生と死の間の絆を絶えず創っていき、生者と死者には共通の場があると想定したいです。多くの宗教はこういう点をカバーしているのですね。 Liens を創るのに rites が必要だというのもそこですね。
 真のユニヴァーサリズムは人を生と死のコミュニティに分けてどちらかがどちらかを管理するというものではなく、
存在のレベルの差を超えたコミュニオンを目指すものだと思います。


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