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フランス語フランス文化質問箱

262Sekko:2010/09/12(日) 02:05:33
左翼人種主義について
 右派左派というのは、フランス革命以来、主として内政に関してで、人種差別思想は、また別物という感覚を持っています。

前にも書きましたが、今時のインテリ左翼は教養が邪魔して表向きには決して人種差別を見せませんが、全体として明らかにありますし、右派からさえ激烈に攻撃されています。

サルコジ政権の若手黒人大臣だったラマ・ヤデは、共産党が支配しているコロンブ市で、不法滞在外国人の未成年者を道に放り出した市長を攻撃しましたし、同じパリ郊外の、ジスカール派のサン・モール市が、共産党のヴィトリイ市に、マリ人コミュニティ300人を押し付けた時、ヴィトリイは、建物を破壊しかねない強攻策に出ました。右、左と関係なく、不法滞在の外国人を押し付けられたくない、選挙権のある住民(右派の市ではブルジョワ右派、左派の市ではブルジョワ左翼と労働者左翼)の機嫌取りです。みんな既得権だけ守りたいのです。

 その他に、ブルジョワ地域では、単純に、外国人と距離があるので、実際の交流がない、外国人=犯罪者という刷り込みがあって怖い、知らないものは警戒する、という心理が働くので、それは政治的な信条とはまた別物のようです。

 アラン・ソーカルというジャーナリストがいまして、この人なんて、1990年代は熱心な共産党員、2007年に突然極右国民戦線に入り、さすがに違和感があったのか1年ちょっとで離党、今は「左派ナショナリスト協会」とか主宰しています。この人は、19世紀の第三共和制のオピニオンリーダーだったジュール・フェリーが植民地主義者であって「黒人を白人文明に引き上げるのが我々の使命」と言い切ったことなどを蒸し返し、ミッテランが植民地担当大臣だったとか、一貫してフランス左派による人種差別を告発しています。右派の人種主義は分りやすいので批判の対象になりやすく、右派はしょっちゅう謝罪を迫られるし、罪悪感にもとらわれるが、左派による人種主義、左派によるファシズムが最もたちが悪く欺瞞的である、と言っています。

 まあ、この人も、反ユダヤ主義者であることを隠してないし、目糞鼻糞を笑う、と言えばそれまでですが、やはり、人種差別は、単なる差異ではなく、植民地の歴史や戦争の歴史、それと実際の日常生活でどれだけ脅威を感じているかという実感や情報操作や無知や、いろいろなファクターの複合したものだと思います。
たとえそんなファクターをクリアーしても、今度は、似ているけれど僅差があるという同士で、より根深い嫉妬や近親憎悪も生まれますし、一般人同士の憎悪や恐怖を支配の戦略として使う権力者も消えそうもないですから、差別の問題は簡単なものではありません。

情緒に任せていたら、どうしても、そういう流れに足をすくわれますから、もう、ちゃんと理性で、「自由・平等・友愛」というものをいつもいつも頭に叩き込んでみんなが努力するしかないと思います。これは日本人同士やアジア人同士でも同じですし。

でも、政治的指導者たちが「教養」や「理念」によって、人種差別をまず形から廃止したり克服することで、世界は少しずつでも、ましな方に向っていると思いたいです。

植民地主義が広がったのは、「奴隷制」が反人間的だとようやく認識された後、では「同じ人間として助けてやらなくては」という大義を利用したわけですが、その後はそれもようやく間違いだと認識されました。というように、罪や傷跡はたくさんあっても、全体としては少しずつましな方に、金や力の論理を牽制する方向に世界は動いている気もします。ともかく、普遍主義の理想を捨てないで次の世代には少しでもましな世界を用意したいです。

私自身、もし100年前に生まれていたら、日本人、女性、など、いろいろな被差別要因に阻まれて、普遍主義、それなに?という状態で、もう今の歳には疲れ果てて日本の片隅で死んでいる可能性大です。実際さまざまな差別の犠牲になった先人のためにも、せっかくいろいろなことを考えることができる立場にある今、差別されている人の側に、形だけでも立ちたいものです。


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