呪いの王国

4469：悪魔の爪：2025/05/03(土) 16:52:07: 私の会社は、海外雑貨を扱う小さな貿易商社だ。十数年、順調に拡大していたが、コロナ禍、物流停滞、為替変動、一つひとつの歯車が狂い始め、気がつけば倒産の二文字が目前に迫っていた。社員の顔から笑顔は消え、銀行からの催促も増えるばかり。私は、経営者として詰んだと思っていた。そんなある夜、知人の紹介で出会ったのが王国だった。あまりに怪しげな名に疑っていた。だが追い詰められていたので、命をかけてトライしてみた。魔具と神具が届いた瞬間、背筋に走った冷気を私は忘れない。魔具は社長室の金庫の中、神具は応接間の東壁に祀った。取引先の名を全て記し、その上で、契約の念を込めて呟いた。異変が起きた。断られていた大手バイヤーから再提案の連絡、海外の停滞していた案件が動き出し、為替も好転。売上は過去最高の3倍強、資金繰りも黒字化、社員たちは助かったと口を揃えたが、私は知っている。偶然などではない。力が、現実を書き換えたのだ。私は、選ばれし者として、悪魔と神の力に触れたのだ。

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