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明主様
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思い出したこと
今ほど社会保障が充実していなかった時代のことだ。
おそらく７０際は過ぎていたであろうおばあさんは、日雇労務者をしていた。
一緒に暮らすのは、孫の男子で、知的能力に問題があって無職だ。
おばあさんは、仕事帰りに毎日参拝にやってきた。
ただし、布教所内に入ることはめったになく、外から手を合わせることがほとんどだった。
真っ暗になった冬の夜に、おばあさんを見かけた信者さんは、
なかに入るように言ったが、入ろうとしない。
どうやらお玉串を供えることができないことを気にしていたようだ。
布教所までの交通費もなく、３駅分くらいの距離を歩いて往復していたようでも
あった。
なんでもかんでも公的扶助をあてにする時代になったせいか、ふと
あのおばあさんを思い出して、心が暗くなった。
もう天国はできているから、メシアの御神様に
「赦しをお受けします」
と申し上げてくださいと心の中で念じた。
届いているかどうかは確認しようもないが、ゲラちゃんの心の暗さは晴れている。
ちなみに、このおばあさんはしばらくして、工事現場でケガをし、それがきっかけで
どこかに施設に入った。以後、参拝することもなくなった。
孫も、別の施設に収容されたことを聞いた。
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