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伊東静雄を偲ぶ

1611Morgen:2020/07/03(金) 22:59:57
「あかかとばいのんのかばいおらんださんからもろたとばい」
大阪駅周辺は通行人が増え、特に茶屋町など若者の多い通りは過密状態になっています。久しぶりに天牛書店(古本屋)で平山蘆江『長崎出島』(昭和27年11月住吉書店)という古い小説を買って読みました。
この本は、フェートン号事件、ゾーフ蘭和辞書編纂、当時の世界情勢(ナポレオンの仏蘭西帝国対英蘭独連合軍)や、英国による長崎出島乗っ取りの策謀などを織り交ぜて展開する歴史小説です。(序によれば)この本は「ヨーロッパや南洋(ジャワやバタビアなど)からオランダ領が消えて、長崎出島だけにオランダの三色旗が翻っていた頃の、蘭館の人たちを親切にかばった長崎人の情愛を表現した人情小説」として書かれました。
今でも「日本の古本屋」にもあるので、平山蘆江さんは昭和20年代には有名作家だったのかもしれません。(私は300円で買いましたが)
日本は永い鎖国時代を経て明治維新を迎えたので井の中の蛙であったと想像しがちですが、実際には国際情勢や新技術の情報は長崎を通じて江戸へもたらされており、それが明治への移行を容易にしたのだそうです。
大阪北浜の『適塾』には、ゾーフ蘭和辞書が今も展示されていますが、当時は福沢諭吉や長与専斎など多くの塾生達が競い合って利用したそうです。そのゾーフ辞書を編纂(仏語からの和訳)したオランダ商館長ヘンドリック・ドゥーフがこの物語の主人公です。本国がナポレオンや英国に占領されて、18年間もの長崎滞在となったことがこの辞書を誕生させた一因ですが、日本人に与えた恩恵は非常に大きかったと言えます。
「あかかとばいのんのかばいおらんださんからもろたとばい」は、長崎の子供たちが唄ったウタだそうです。オランダ商館員と丸山の花魁との間に生まれた子供は髪の毛が「あかかとばい、美しかばい、オランダさんからもろたとばい」という意味になります。
この小説でも、お花さんというハーフが活躍し、商館長ヘンドリック・ドゥーフの子供「道冨丈吉」も登場します。
 外では、音を立てて雨が降っています。軽めの投稿で少しでも気晴らしになればと思います。

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