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☆☆☆☆☆ 同 人 α ☆☆☆☆☆ - ニューロン・カフェ

4963赤松次郎:2017/09/04(月) 10:56:52
山荘便り−20170903 猫の歩き方
 山荘の周りを我が家の猫「モロ」と毎朝散歩に出かけるのだが、ふと気づいたことが
ある。猫はなかなかまっすぐに歩かないということだ。私が後ろから見ていると、ピン
と立てた尻尾をふりふり、前や後ろ下や上の藪などに目を配り道の左や右に沿いなが
ら、草や枯れ葉の匂いをかいだり手でひっかいたり、尻スプレーを振りかけたりと、結
構やることが多い。だから直線に歩くことはまれである。一方私はといえば、自分では
いつも直線上をまっすぐ歩いていると思っていた。しかし積もった雪の上に残った長靴
の足跡を見ると豈図らずや、かなり蛇行しているのに気づいて愕然とするである。

 そこで直線的に歩行するか否かは何か理由があるのではないかと考えた。
ここで直線という数学的な定義をひもとくと、二点間の最短距離とある。
二点 P(x1,y1), Q(x2,y2) の距離 PQ は√(x2−x1)2+(y2−y1)2で表せるという。ただし
これは二次元の世界の式で、多次元のはもっと複雑な数式である。
??ここで一つの面白い逸話がある。ジュリアン・S・シュウィンガーや朝永振一郎ととも
にノーベル物理学賞を共同受賞したリチャード・P・ファインマンは、『ご冗談でしょ
う、ファインマンさん』 (岩波現代文庫)2000/1/14のなかに、蟻の行動を長時間観察す
るシーンがある。水平な床の一点Aから垂直な壁の一点B(観察者から見て床面上のA
点より右にずれた壁面上のB点)までの蟻の隊列の軌跡を見ていると、人間には水平面
の軌跡と垂直面の軌跡が一直線には見えない。しかし床と壁を平面に展開して見ると、
確かにA点とB点は直線で結ばれていることをファインマンは発見するのである。さて
さて蟻は二点間の最短距離をどうやって関知したのであろうか?

 ここで直線的に歩行する理由はといえば、最短距離を選びたいという意思であり、そ
の意思はA点とB点へ移動する目的があるかどうかであるといえるのではと思った。自
転車の安定した走行を得るには適度なスピードが必要なように、大股で真っ直ぐ歩くに
は早足歩きが必要なのであろう。
 意思とスピードの走行に圧倒されたのは、十数年前のバブル崩壊に煽られて設計事務
所を閉鎖し、さる不動産会社に半年勤め通った新宿西口地下道の様相である。ここは渋
谷駅前のスクランブル交差点のようなもので、放射状の通路から人の波が押し寄せる焦
点のような広場である。そこではスピードと強い目的意識を持った人達が突進してく
る、まさに戦場である。うら若きOLといえども、目的のために雑念を捨てさり鋭い刃
物と化して私にむかって直進してくる時、私は思わずたじろぎ、道を譲るはめになる。
まさに気合いの勝負である。

 だから「モロ」や世俗をはなれ霞を食べて生きていこうとしている私の行動には目的
意識がなく、勢い目先の興味に惑うから真っ直ぐ歩けない。むしろそのむき出しの意思
にうんざりするのである。




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