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4632赤松次郎 :2016/11/13(日) 17:47:17
山荘便り 20161113−ハシバミ
 西洋の小説を読んでいるとハシバミとかトネリコ、ニワトコ、スグリ、サンザシなどの
植物の名前がよくでてくる。それらが自分の育った環境にはなかったせいか、私にはそれ
らが洋風の名前だと思っていて、西洋の風景を思い抱いていたのだ。しかし異国風と感じ
ていた私のまったくの思い違いで、それらには歴とした和名があり日本の山野に自生して
いるのだ。トネリコは梣という漢字であり、ニワトコは接骨木(庭常)、スグリは酸塊、
サンザシ山査子と書く。
 さて最初の書き出しの西洋小説のなかではそれらの植物はどのように表現されているの
か調べてみると・・・

 シンデレラの物語には
彼女のお母さんは死ぬときにシンデレラに、庭に植えてあるハシバミの木に、困ったこと
があったらいいなさいといって亡くなります。彼女の母は死ぬ間際に自分の魔力をそのハ
シバミの木に託したのです。シンデレラが困ってそのハシバミを木をゆらすと、なぜかそ
こに綺麗なドレスがかかっていた。

 ワーグナーの楽劇「ニーベルングの指輪 」では
「神々の黄昏 (楽劇) 」の冒頭「ワルキューレの岩」で第一のノルン(運命の女神)が
「一人の大胆な神が水を飲みに泉にやって来て 永遠の叡智を得た代償に片方の目を差し
出しました そして世界樹のトネリコの木から枝を一本折り その枝から槍の柄(つか)
を作りました 長い年月とともに その枝の傷は 森のような大樹を弱らせました 葉が
黄ばんで落ち 木はついに枯れてしまいました」と歌う。

 プルーストの「失われた時を求めて」では
「私の記憶では、サンザシが好きになりはじめたのはこのマリアの月でだった。教会の祭
壇に飾られている白いサンザシをみて、その枝は葉の縁飾りで一段と美しくなり、その葉
の上には、ちょうど新婦のウェディングドレスのすそのように、まぶしいくらいの純白の
蕾が小さな花束になって、ふんだんにばらまかれている。」と表現した。


 昔「知らない木(日本語に訳せない木々)」はトネリコとかサンザシとかの言葉で訳し
ていればいいなどといった、さる翻訳家の戯言を読んだ記憶が頭の隅にあったのが災いし
て、それらを西洋の名前だと思い違いしていたに違いない。

    

 毎年秋になると山荘の近くの屋敷から下の道路に、テトラポットのように四方にツメを
伸ばした褐色の妙な形のものが落ちていることがあった。私はそり曲がった病葉かそれと
もアカタテハの綴じ合わせて作った「巣」だろうかと考えていた。そして時々は靴で踏ん
で中身を調べてみたりしたが、それがなんであるか判らなかった。今年は手にとってほぐ
してみると中から小さな明るい褐色の椎の実のような物が出てきた。植物図鑑で調べてみ
るとそれがハシバミの実で、別名「ヘーゼルナッツ」。芽立ちが明るい赤紫色で、のちに
濃い赤紫色になる。花・実も紫色を帯びる。実は食べられる。耐寒落葉。樹高2mと書い
てあった。

 実を取り出すために皮を剥いたのだが、妙に指がチクチク痛いと感じたのはトゲが指に
刺さったからだ。 私の目には見えないような細かい産毛のようなもので、ついに棘を的
確に見つけることは出来ず、その痛みはしばらく残った。
 食べられるということなので来年は手袋をしてハシバミを採取して、「武士の一分」で
はないが我が家の「モロ」に毒味係を仰せつけ何ともなければ、ビールのツマにして暖か
い薪ストーブの燃える部屋で楽しもうと企んだ。






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